復活・再ブレイクと言うと、意外に感じられそうな商品もある――日本人の食文化に欠かせない「だし」がそのひとつ。市場全体では、顆粒や粉末タイプのだしの素の販売量が低下する中、ティーバック状の袋に鰹節や昆布などが入った「だしパック」の需要だけが、ここ5年で1.5倍に伸びているという。鰹節やだしの老舗・にんべんの経営企画部・堀江直行さんに、話を聞いた。
「当社で最初にだしパックを販売したのは、1976年『だしニューパック』という商品です。2013年に和食がユネスコで無形文化遺産に登録されたことを契機に、現在販売している『日本橋だし場』ブランドのだしパック、『薫る味だし』シリーズがかなり伸びていますね。最近のだしパックの特徴は、手軽にだしをとれるだけではなく、塩や醤油といった味付けが加えられ、そのままで調味料としても使えるものが人気です」
だしが再評価されている要因は、世界的な和食ブームだけではない。同社が2010年10月にオープンした「日本橋だし場」は、その後、羽田空港、丸ビル、海老名サービスエリアと出店を拡大。2015年11月には海外初出店となるタイ・バンコクにも進出し、料理に使うだけではなく、「だしを飲む」という新しいスタイルも広がりを見せている。
「日本人のDNAの中には、だしの味にホッとしたり、懐かしい気持ちになったりする――特有の旨みから幸せを感じる、センサーのようなものがあるのではないでしょうか。私どもが『日本橋だし場』をスタートさせていただいた目的の中には、『だしを飲んで、ホッとしてください』という気持ちがありました。近隣のオフィスにお勤めの方がランチを買いにいらっしゃったり、遊びにいらした方が休憩に立ち寄られたり、さまざまな層の方にホッと一息、ブレイクしていただければと思っています」(前出・堀江さん)
こうして再ブレイクや復活・再評価された人物や商品と、その後の人気などを改めて考えてみると、トレンドの移り変わりという、周囲の変化によって好機が訪れるケースはあるものの、その人気の継続や定番化に不可欠なのは、やはり本来持っている“真の実力”がカギとなる。今年も引き続き「再ブレイク」は話題のひとつになりそうだが、その人気が続くのか? というのも、大きな注目ポイントといえそうだ。