「でも辻選手の試合はメインイベントが終了した後の、テレビ中継がない試合だったんです。2010年には12月30日でしたけど『戦極 Soul of Fight』に藤井惠さんらが出場していますが地上波での中継はありませんでした。地上波の注目度が高い大晦日の時間帯で女子総合格闘技の試合が放送されたのは、ここ10年では例がありません。『新しいものを始めるにあたっての象徴』とRIZIN運営が会見で言った通り、これから真の意味での女子の時代がきてくれると嬉しいですね」(前出・松本さん)
総合格闘技がスポーツとして認知されている米国のUFCでは、女子柔道の五輪銅メダリストであるロンダ・ラウジーが、いまや56,214人の観客が集まった大会のメインイベントをつとめるほど人気と実力を兼ね備えた総合格闘技のスターだ。ラウジーはフォーブスの世界女子スポーツ選手長者番付2015年版ではテニスのマリア・シャラポワやレーシングドライバーのダニカ・パトリックに交じり8位になる経済的成功も納めている。
「今回のRENAのように華やかな場所で活躍する女子選手の存在は、これから取り組む若い人を増やします。ラウジーのような成功が納められるかもしれないとなれば、RIZINのリング上で参戦を表明したレスリング世界ジュニア王者・村田夏南子のようにスポーツエリートも加わる可能性も高い。RIZIN統括本部長の高田延彦さんが『これからは女子の時代です』と宣言したことが、掛け声だけではなくなりそうです。女子総合格闘技はこれから面白くなりますよ」(前出・藤村さん)
低視聴率やかつての有名選手の試合内容に対する落胆など、何かとネガティブな情報が多かった大晦日の総合格闘技だが、「女子」には明るい未来が開けた日となった。