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大前研一氏「カイゼンではなく『0から1』の力が必要」と指摘

Airbnbrは一気に世界展開を実現した Reuters/AFLO

 電気製品や自動車に代表されるように、日本人は、モノを「軽く」「薄く」「短く」「小さく」したり、少しずつコストカットするなどの改善を積み重ねたりして、競争力を高めることを得意としている。しかし、ビジネスを取り巻く環境は大きく変わり、それだけでは生き残れなくなった。

 経営コンサルタントの大前研一氏は、この新しい1年は「0から1」、すなわち「無から有を創造する力」がますます重要になると指摘する。大前氏は、まず激変したビジネス環境を知る必要があると主張する。

  * * *
 近年、「国家」や「企業」の枠組みを越えた「個人」のアイデアと実行力ひとつで新しい商品やサービスが生まれ、社会が大きく変わるようになった。
 
 今年もその傾向がより加速することになるだろう。ビジネスマン個々人が、商品開発でもエンジニアリングでも、あるいは営業でも、新たなビジネスを切り拓く能力が必要になる。

 無から有を生み出すことを「ゼロイチ」「ゼロワン」と呼ぶが、いま「0から1」を生み出すためのビジネス環境が激変していることを、まず知らねばならない。意欲と能力のあるビジネスマンにとっては大きなチャンスが到来しているとも言える。
 
 20世紀のビジネスの三要素は「ヒト・モノ・カネ」と言われたが、それが今や「クラウドソーシング」「クラウドコンピューティング」「クラウドファンディング」という「3つのクラウド」で代替できるようになり、少人数でも(極端に言えば1人でも)、あるいは設備や資金がなくても、新たなビジネスが展開できる時代になった。
 
 つまり、従業員は、クラウドソーシングで国内外の人材に外注すれば、これまでの数分の1~数十分の1のコストで済む。ハードウエアやソフトウエアは、クラウドコンピューティングを利用すれば、巨大なサーバーなどを自前で持つ必要はなく、スケーラブル(規模の拡大が可能)だ。
 
 また多くのアプリも廉価に利用できるようになっている。事業資金も、良いアイデアであればクラウドファンディングによって不特定多数の人たちから容易に調達できる。新興ベンチャーキャピタル(VC)の増加も、資金調達を容易にしている。

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