2010年にEUS-FNAが保険収載され、全国の医療施設に普及したものの、中には技術が足りないために病変を発見できない、または発見できても、うまく細胞が採取できないなど診断能力の低さから、逆に診断が遅れるという事例も発生している。十分に経験のある施設を選択することが求められる。
「最近、膵臓学会で注目されているのが、膵のう胞です。健康診断などで発見されることが多いのですが、膵のう胞がある方は、ない方に比べ膵がんのリスクが20倍以上になることが判明しました。膵のう胞を有する方は、膵臓全体が前がん病変にあると考え、1年に2回の定期的な経過観察を学会では推奨しています」(肱岡医長)
膵がんは自覚症状がほとんどないといわれるが、糖尿病の悪化、50代を過ぎて初めて糖尿病を発症した場合は、膵がんを疑い検査が必要だ。
■取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2016年1月29日号