ライフ

膵がん正診率が100%近い「超音波内視鏡穿刺吸引検査」

 膵臓は胃の真裏にある20センチほどの臓器で、消化のための膵液や血糖をコントロールするインスリンなどのホルモンを作っている。胃や十二指腸の背部にあるため、腫瘍は超音波(エコー)では発見が難しい。さらに膵がんは塊を作らず、パラパラと拡がるタイプが多いため、膵実質との境界がわかりにくいという性質がある。

 このためCTでも小さい段階では見落とされることもあり、手術ができないほど進行してから見つかることが多い。膵がんは一般的に膵液を十二指腸に送る膵管にできる通常型がんを指すが、CT検査などで膵管拡張が見つかり、黄疸もともなっているので手術したところ、慢性膵炎だったというケースもあったりして、術前の正確な診断が難しい臓器といえる。

 愛知県がんセンター中央病院消化器内科部の肱岡範(ひじおか・すすむ)医長に話を聞いた。

「1センチ以下で発見された膵がんの5年生存率は約80%と高いのですが、1~2センチの5年生存率は50%になります。現在発見される膵がんは、ほとんど2センチ以上で、約85%が手術不能で難治がんの代表といえます。

 確定診断法としてヨーロッパで行なわれていたEUS-FNAを、1997年に部長の山雄健次(やまおけんじ)が導入しました。以来、技術の研鑽(けんさん)を続け、1センチ以下のがんでも、100%近く診断できるようになっています」

 EUS-FNAは、患者に全身麻酔を施し、胃の中に超音波内視鏡を挿入する。胃や十二指腸の壁を通して、裏側の膵臓に高周波の超音波を当てて解像度の高い画像を得る。満遍なく膵臓を検査し、膵管の拡張や腫瘍などを発見する。

 病気が見つかったら、針を内視鏡に入れて胃の粘膜側から膵臓に刺し、細胞を吸引して取り出す。血液とともに取り出された細胞をすぐに医師と細胞検査技師で顕微鏡検査し、診断に十分な量が採取されているかを判断する。足りない場合は、再度細胞を穿刺吸引する。この迅速診断は10分程度で終了する。

関連記事

トピックス

真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
”クマ研究の権威”である坪田敏男教授がインタビューに答えた
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン