国内

いじめ問題 「疑い」通告して学校が動かなかったら法律違反

荻上チキ氏が子供のいじめ問題にアドバイス

 もしも自分の子供がいじめられているとしたら、親は何をすればいいのだろうか──。そんな難しい問題に、NPO法人『ストップいじめ!ナビ』代表理事で著書に『ネットいじめ』(PHP新書)『いじめの直し方』(共著、朝日新聞出版)などがある、評論家の、荻上チキさん(34才)がアドバイスをする。

 * * *
 いじめられていることを親に積極的に言う子供はいません。かといって、子供が何も言わない段階で、親はいじめを見抜けません。

 だから、日常のささいな変化に気づいてあげる。たとえば「ご飯を残す」「学校のことを話したがらない」「会話の数が減っている」「ため息が多い」とか。元気がないな、ちょっとおかしいなと思ったら「いじめ」の可能性も考えて、今、子供に何が起こっているのかを話し合ってください。

 そして「いじめ」が発覚したら、まず「いつ、誰に、どのようにいじめを受けて、その結果、どんな気分になっているのか」を詳しく聞いて、ノートにきちんと記録してください。記録だけでも教育委員会や学校に出すときの証拠になります。

 話を聞く際、「なんでやりかえさないんだ!」などと高圧的になってはいけません。子供にとって話しにくいことなんですから、親は同意を示して唯一の理解者でいてください。

 次に、学校の担任に訴えましょう。「具体的にどう思ったか」を強調して、「私の子供のいじめ対策をとってください」と主張してください。

 2013年施行の『いじめ防止対策推進法』により、いじめの疑いがある段階で、学校は「○○くんいじめ対策チーム」のような「専門チーム」を作って、対応しなければいけません。ですから疑いの段階でも学校が動かなかったら、法律違反になります。

 保護者のなかには「学校は頼りにならない」「学校に相談したらいじめがエスカレートする」と躊躇するかたがいます。しかし、それは誤解です。

 ある調査結果では「学校の先生に相談することによって、いじめが解消あるいは軽減された」という結果が7割もありました。つまり、改善する可能性のほうが高いんです。

 子供は「学校が世界のすべて」となりがちです。学校以外にもちろん居場所、世界はたくさんあります。そのひとつが家庭です。習い事とかサークルとか、地域での活動などでもいい。常々、子供に学校以外にも楽しい世界、おもしろい世界があるんだと学ばせてあげる。

 すると、いじめがあっても「世界すべてから否定されたわけではない」と、最悪の事態は避けられると思います。

※女性セブン2016年2月4日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

オーナーが出入りしていた店に貼られていた紙
「高級外車に乗り込んで…」岐阜・池田温泉旅館から“夜逃げ”したオーナーが直撃取材に見せた「怒りの表情」 委託していた町の職員も「現在もまだ旅館に入れない」と嘆き
NEWSポストセブン
記者の顔以外の一面を明かしてくれた川中さん
「夢はジャーナリストか政治家」政治スクープをすっぱ抜いた中学生記者・川中だいじさん(14)が出馬した生徒会長選挙で戦った「ものすごいライバル候補」と「人心を掴んだパフォーマンス」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博内の『景福宮』での重大な疑惑が発覚した(時事通信)
《万博店舗スタッフが告発》人気韓国料理店で“すっぱい匂いのチャプチェ”提供か…料理長が書いた「始末書」が存在、運営会社は「食品衛生上の問題はなかった」「異常な臭いはなかった」と反論
NEWSポストセブン
63歳で初めて人生を振り返った俳優・小沢仁志さん
《63歳で初めて人生を振り返った俳優・小沢仁志》不良役演じた『ビー・バップ』『スクール☆ウォーズ』で激変した人生「自分の限界を超える快感を得ちまった」
NEWSポストセブン
釜本邦茂さん
サッカー界のレジェンド・釜本邦茂さんが「免許返納」密着取材で語っていた「家族に喜んでもらえることの嬉しさ」「周りの助けの大きさ」
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがニューシングル『Letter』をリリース(写真・左/AFLO、写真・右/Xより)
羽生結弦の元妻のバイオリニスト・末延麻裕子さん、“因縁の8月”にニューシングル発売 羽生にとっては“消せない影”となるのか 
女性セブン
中学生記者・川中だいじさん(14)が明かした”特ダネ”の舞台裏とは──
「期末テストそっちのけ」中学生記者・川中だいじさん(14)が抜いた特ダネスクープの“思わぬ端緒”「斎藤知事ボランティアに“選挙慣れ”した女性が…」《突撃著書サイン時間稼ぎ作戦で玉木氏を直撃取材》
NEWSポストセブン
釜本邦茂さん
メキシコ五輪得点王・釜本邦茂さんが語っていた“点取り虫”になる原点 “勝負に勝たなければならない”の信念は「三国志」に学んでいたと語る
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴行動画に批判殺到の花井組》社長らが書類送検で会社の今後は…元従業員は「解体に向けて準備中」、会長は「解体とは決まっていない。結果が出てくれば、いずれわかる」と回答
NEWSポストセブン
雅子さまのご静養に同行する愛子さま(2025年8月、静岡県下田市。撮影/JMPA) 
愛子さま、雅子さまのご静養にすべて同行する“熱情” そばに寄り添う“幼なじみ”は大手造船会社のご子息、両陛下からも全幅の信頼 
女性セブン
猫愛に溢れるマルタでは、動物保護団体や市民による抗議活動が続いているという(左・時事通信フォト)
《深夜に猫地面にたたきつける動画》マルタで“猫殺し”容疑で逮捕の慶應卒エリート・オカムラサトシ容疑者の凶行と、マルタ国民の怒号「恥を知れ」「国外に追放せよ」
NEWSポストセブン
大神いずみアナ(右)と馬場典子アナが“長嶋茂雄さんの思い出”を語り合う
大神いずみアナ&馬場典子アナが語る“長嶋茂雄さんの思い出”「こちらが答えて欲しそうなことを察して話してくれる」超一流の受け答え
週刊ポスト