400勝投手として野球界を代表する金田正一氏(82)と、日本人初の米国PGAツアー優勝などゴルフ界を代表する実績を持つ青木功氏(73)、レジェンド同士の奇跡の対談が実現した。青木氏は、心よりまずは体、「心・技・体」ではなく「体・技・心」なので、練習する体力がついて技術が身につけば、おのずと自信は備わるという。そこまでの理論を持ちながらなぜ野球選手を目指さなかったのかなど、2人が10代のころを振り返った。
金田:それだけ素晴らしい理論を持っているんだから、野球でも成功したかもしれないな。野球選手になろうとは思わなかったのか?
青木:もちろん最初は目指しましたよ。オレたちのガキの頃は野球しかなかったからね。プロに憧れて中学時代は野球部。でも酷い負け方しちゃったんだよね。
金田:ほう、どんな?
青木:忘れもしない、あれは県大会の9回裏。2死一、三塁同点の場面でオレがリリーフ登板した。当初から三塁走者の動きが怪しくて、オレは警戒していたんだよ。そうしたら予想通りホームスチールを仕掛けてきた。だからオレは外したんだけど、走者に気を取られた捕手がよそ見しちゃって、パスボールでサヨナラ負け。
悔しくて悔しくて。「もうやってられるか!」と、家でグラブやユニフォームに油をかけて燃やしてしまった。オヤジにはこっぴどく叱られました。「こんな貴重なものをお前は!」ってね。
金田:……驚いたなァ。理論だけでなく、学生時代の負け方まで同じだよ。ワシも高校の最後の試合は暴投で負けたんだ。球が速すぎて捕手が捕れなんだ。
青木:オレたち、何か不思議な縁で結ばれているんですかね(笑い)。
金田:そうかもしれんなァ(笑い)。そしてその後、ゴルフに目覚めたのか。
青木:燃やした翌日から小遣い欲しさに我孫子GCでキャディのアルバイトを始めたんです。まだ中学生だったけど、好きな理科・数学の授業以外は学校に行かず、バレてまたオヤジに怒られました(笑い)。
金田:ワシも理科・数学が得意だった。つくづく似ているところばかりじゃのう(と唸る)。