なぜ今、自由化が始まろうとしているのか。
「ひとつの理由は、異業種交流による新技術や新製品の発想です。例えば、かつて通信市場は電電公社の独占でしたが、自由化されていくつかの企業が参入し、携帯電話、スマートフォン、それに伴うアプリなど技術や形態は飛躍的に進化しました。
そしてもうひとつは、これまでは原子力発電所や大規模火力発電所などを持っていないと電力供給できなかったのが、太陽光など小規模な発電設備を持っていれば供給が可能になったことが挙げられます」(江田さん)
また、大きな変化は「価格」。それも、自由化が求められた理由のひとつだという。電気料金比較診断などを行う「エネチェンジ」副社長の巻口守男さんの話。
「戦後、日本が発展していくためには電力が欠かせませんでした。一にも二にも安定した供給が求められ、それがあったからこそ産業や経済が発展しました。でも、今やそれは当たり前の時代。
一律の料金設定では、夜だけしか電気を使わない、ひとり暮らしでほとんど電気を使わない、在宅介護をしているから一日中冷暖房をつけっぱなし、などライフスタイルに合わないという人も大勢出てきましたし、付加価値を求める声も強くなった。それに応えるために導入されるのが電力自由化なのです。これまでは節電効果を促すため、第1段階、第2段階、第3段階と、使えば使うほど割高になっていた料金システムが、第2段階や第3段階で割引されるようになり、安くなるのです」
※女性セブン2016年2月4日号