東西では出汁の味や濃さが違うことにも驚いたと話す。
「関西の人間はおつゆを全部飲み干す人が多いんですが、関東風ではおつゆが濃くてそれができない。関西風のうどんは飲み干すことで『いただきました!』という満腹感がしっかり得られるのが良いんです。そこへいくと東京はそば文化だからか、おつゆに少しだけつけるとか、物足りないくらいでサッと店を出るのが粋とか、僕には少し上品すぎる(笑い)」
「いし井」のうどんは昆布とかつおぶしをブレンドした出汁で、風味がよく、すっきりしていて最後の一滴まで楽しめる。大阪公演などがあった際には、共演者に実家のうどんを振る舞うこともあるそうで、某有名女優はその出汁を気に入って、お持ち帰りしたのだとか。実家の味がいつも心の奥にあるという。
「恋しくなってついつい関西風のうどんの店を見つけると入っちゃう。実家に帰るのは年に1、2回ですが、今でもやっぱり一番旨いですね」
撮影■木村圭司
※週刊ポスト2016年2月5日号