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くも膜下出血と急性心筋梗塞 死ぬ時はどのくらい苦しいか

 誰しも安らかに逝きたいと願うもの。また、愛する人や親しい人には、どうか苦しまずに旅立ってほしい。しかし、「死ぬ瞬間」に感じる辛さはその死因によって残酷なまでに異なると米山医院院長の米山公啓医師が指摘する。

「医療技術は格段に進歩しましたが、激しい痛みや苦しみを伴って亡くなるケースはまだあります。残念ながら、死に至る苦痛は平等ではないのです」

 死ぬ瞬間、人はどのような辛さを感じるのか。まずは日本人の死因の上位を占める脳卒中と急性心筋梗塞を見てみよう。

 脳梗塞や脳出血などの脳卒中(脳血管疾患)の一種で、とくに激しい痛みで知られるのがくも膜下出血だ。3年前に発症したAさん(58)が当時を振り返る。

「最初は突然、足に力が入らなくなり、思わずしゃがみこむと後頭部をガーンと思い切りハンマーで殴られたような衝撃を感じた。これまでの人生で経験したことのない痛みでした。次第に激しい吐き気を感じたかと思えば、今度は寒気が襲ってきて、その場から一歩も動けなくなりました」

 すぐ病院に搬送されたAさんは幸いにして一命を取り留めた。しかし、そのまま死に至ってしまうケースが少なくない。医療ジャーナリストで医師の森田豊氏は、「くも膜下出血を発症された方の3分の1近くが亡くなられている」という。

「元気だった人が突然、頭を押さえて表情を歪め、そのまま亡くなることも多い。ほとんどのケースで予兆がなく、いきなり症状がやってきます。この病気は脳内の狭いスペースで出血するから、痛みが圧縮されて激痛となる。じわじわした痛みではなく、唐突に生じる痛みです。あまりの衝撃に苦悶の表情を浮かべたまま、気を失う患者もいます」

 救急救命士で帝京平成大学健康メディカル学部の鈴木哲司准教授は救急医療システム学が専門で救急医療の最前線を経験している。そんな鈴木准教授が生死の懸かった現場で患者が「辛そう」だと感じたのが急性心筋梗塞だ。

「心臓に酸素や栄養を送る血管である冠動脈が突然詰まって血栓ができ、血流がストップして心臓が壊死してしまう病気ですが、多くの搬送を見てきた中で最も苦しそうでした。経験された方々は、“バットで思い切り胸を叩かれた感じ”、“熱した鉄棒を左胸のあたりに突き刺されたみたいだった”と口にしていた。手足をバタつかせてもがきながら、救急車内で搬送中に心肺停止するケースもありました」

 重態の場合は発症から3時間以内に絶命するケースがほとんどで「それまでが治療のゴールデンタイムなので迅速な119番を心がけてほしい」と話す。

※週刊ポスト2016年2月5日号

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