だが、2人の「ユニクロ経営」は長くは続かなかった。2002年、柳井氏から後継社長に指名された澤田氏はそれを固辞して退社。代わりに社長になった玉塚氏も、業績アップに貢献したものの、柳井氏との確執が取りざたされるなどして、2005年にユニクロを去った。
「2人とも柳井オーナーが掲げる高すぎる目標とプレッシャーに耐えきれなくなった」(前出・経済誌記者)というのが事の真相のようだが、“柳井門下生”2人の絆は固く、2005年10月、企業再生支援のコンサル会社、リヴァンプを共同設立。ハンバーガーチェーンのロッテリアやバーガーキング、ドーナツチェーンのクリスピー・クリーム・ドーナツなどの再建事例を次々と築き上げ、その名を轟かせるようになった。
しかし、またもや2人は袂を分かつことになる。玉塚氏がローソン元社長(現サントリーホールディングス社長)の新浪剛史氏から専属でのコンビニ経営を託されたからだ。そのときのことを玉塚氏はこう振り返っている。
〈僕は小売りが大好きだし、新浪さんも尊敬していた。だからここでもう一度地に足を着けて、徹底的に現場に入り、足腰を鍛え直そうと思った。澤田にローソンのことを説明したら、「ふざけんなよ、バカか」って。でも最終的に僕はローソンの仕事をやろうと決めた〉(週刊東洋経済2014年11月22日号)
そして、玉塚氏がローソンに入社してから5年の月日が流れたいま、2人はガチンコ対決を強いられる運命になった――。
2月4日、ファミマ・ユニーの統合人事発表に姿を見せた澤田氏は、今回の社長就任話について「(玉塚氏には)ずっと内緒にしていた」と明かしたうえで、冗談めかしてこんな“宣戦布告”をしてみせた。
〈玉塚はライバルとは思ってないし、彼から学ぶつもりもまったくないが、あまり玉塚をいじめないでくださいね(笑い)〉