朝井:あそこ、ステージっていうよりも祭壇みたいになってますもんね。ああいうものを見ると、やっぱりつんく♂さんの楽曲を求めちゃいます。自分のなかでは、つんく♂さんの楽曲って、ずっと当たり前のようにあり続けてくれたものなんですよ。明日から水が使えなくなったら困るように、つんく♂さんの楽曲が供給されなくなったら生きていけるか不安です。
──つんく♂プロデュースではなくても、たとえばこぶしファクトリーの新曲3曲(2月17日リリースのトリプルA面シングル『桜ナイトフィーバー/チョット愚直に!猪突猛進/押忍!こぶし魂』)なんかは、つんく♂イズムというか、ハロプロイズムがすごく感じられますよね。
朝井:ヒャダインさんの曲(『チョット愚直に!猪突猛進』)に、“カモーナ!”って入ってますもんね。あの曲を聞いて、すぐにヒャダインさんに連絡したんですよ。「“カモーナ!”の元ネタは『そうだ!We’re ALIVE』(モーニング娘。の楽曲)ですよね?」って。そしたら、ヒャダインさんもつんく♂さんへのリスペクトを込めて作った曲だったみたいで「つんく♂さんが好きな人に褒めてもらえてうれしいです」って返事をしてくださいました。
ヒャダインさんもそうですし、中島卓偉さん(ハロプロの楽曲を多く手掛けているロックアーティスト)もそうですけど、つんく♂イズムを継承している人って、自分もステージに立つ人なんだろうな、と思います。ステージで歌ってこそ映える曲を作れる、というか。なので、つんく♂さんと同じ感覚を持っているアーティストさんがハロプロに楽曲を作ってくれるというのは、つんく♂ファンとしてはとてもとてもうれしいです。
ただ、素晴らしかったのはJuice=Juiceのファーストアルバム(『First Squeeze!』。シングル曲を集めたベスト盤的内容のディスク1と非つんく♂プロデュースの新曲中心のディスク2の2枚組)。ディスク2はつんく♂さんプロデュースではなかったけど、すごく良かったですよね。松浦亜弥さんの1枚目のアルバム(『ファーストKISS』)って名盤って言われてますけど、松浦さんの歌がうますぎて、それに応えるために制作陣が本気を出したら、すごく良いアルバムになった、っていう話を聞いたことがあるんですよ。Juice=Juiceのアルバムもまさにそれと同じ感覚を抱きました。Juice=Juiceがあまりにも歌えるから、制作陣も嬉しくなってエンジンフル回転になったんじゃないかなって。
ハロプロってやっぱり実力主義だから、パフォーマンスが良くなってくると、制作陣もどんどん本気になって、さらに素晴らしい作品がなってくると思うんです。そういう部分で、つんく♂さんプロデュースとはまた違った魅力が出てくるんだろうな、という気はします。
──朝井さんは、以前からオーディションが好きだとおっしゃっていますが、最近のハロプロはオーディションの途中経過を映像などであまり見せなくなりました。ファンの間では、オーディションが見たいという意見も多いようですが、朝井さんはいかがですか?
朝井:『ASAYAN』を見て育った身としては、オーディションを見たいという気持ちもあるんですけど、どちらかというと10代後半から20代くらいの人のオーディションにグッと来るところがあったんですよ。それこそ太陽とシスコムーンが結成されたときのオーディションとか、「これ電波少年?」っていうくらいハードだったじゃないですか。今のハロプロのオーディションは10代前半の女の子たちが中心ですが、ぼくはもうちょっと年齢が上の人たちの裏側を見たいと思っているのかも、よりシビアというか。
──となると、『GREEN ROOM』(ハロプロを含むアップフロントグループに所属する女性アーティストのレッスンや舞台裏を紹介するYouTubeの番組。2月から『Girls Night Out』という番組にリニューアルされた)で見せていたハロプロ研修生のレッスン風景なんかは、良かったんじゃないですか? なかなかシビアなシーンもありましたし。