芸能

寺田農 「役者もオモシロい」となった三木のり平との思い出

寺田農が語る三木のり平との思い出

 俳優の寺田農の役者人生に大きな変化をもたらしたのは、俳優でコメディアンの故三木のり平との出会いだった。出会い、共演時の思い出、師匠としての三木について寺田が語った言葉を映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』からお届けする。

 * * *
 寺田農は1970年のNHK時代劇『男は度胸』で三木のり平と共演している。

「それまで、役者を突き詰めて考えることはなかったから、すぐ飽きちゃうんだ。なんたってアマチュアだからね。青春ドラマも少し出たら飽きるし、『肉弾』で主演しても映画も飽きる。

 そんな時に『男は度胸』で三木のり平先生と共演した。それで、翌年にそれを舞台にした『俺は天一坊』っていうのに出ないかと、のり平先生に言われて。

 こっちは新劇で、マゲものを舞台ではやったことがないからね。親友の古今亭志ん朝がのり平先生の一番弟子だったから電話で相談したら『絶対にやれ。これを断ったら絶交だ。全部俺が面倒みてやるから』って言ってくれて、それで出ることになった。

 この時に、役者ってこんなに凄いんだと初めて思ったんだ。小野田勇先生の脚本だから出来上がりが遅くて、稽古は満足に出来なかった。初日は11時開演なのに、10時過ぎまで稽古が続いているわけ。客入れする時間になっても緞帳を下ろして、その中でのり平先生が口立てで芝居をつける。

 それでも何とか30分遅れで初日の幕は開いたんだけど、のり平先生が舞台に出てくると大爆笑で劇場中が揺れたんだよ。その時、『ああ、これが役者なんだ』と思った。そこからなんだ。『役者もオモシロいなぁ』となったのは」

 その後、寺田はのり平に弟子入り、1999年にのり平が亡くなるまで、共に舞台に立ち続けた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
《雅子さま、62年の旅日記》「生まれて初めての夏」「海外留学」「スキー場で愛子さまと」「海外公務」「慰霊の旅」…“旅”をキーワードに雅子さまがご覧になった景色をたどる 
女性セブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
《悠仁さまの周辺に緊張感》筑波大学の研究施設で「砲弾らしきもの」を発見 不審物が見つかった場所は所属サークルの活動エリアの目と鼻の先、問われる大学の警備体制 
女性セブン
清水運転員(21)
「女性特有のギクシャクがない」「肌が綺麗になった」“男社会”に飛び込んだ21歳女性ドライバーが語る大型トラックが「最高の職場」な理由
NEWSポストセブン
活動再開を発表した小島瑠璃子(時事通信フォト)
《輝く金髪姿で再始動》こじるりが亡き夫のサウナ会社を破産処理へ…“新ビジネス”に向ける意気込み「子供の人生だけは輝かしいものになってほしい」
NEWSポストセブン
高校時代の安福久美子容疑者(右・共同通信)
《「子育ての苦労を分からせたかった」と供述》「夫婦2人でいるところを見たことがない」隣人男性が証言した安福容疑者の“孤育て”「不思議な家族だった」
中国でも人気があるキムタク親子
《木村拓哉とKokiの中国版SNSがピタリと停止》緊迫の日中関係のなか2人が“無風”でいられる理由…背景に「2025年ならではの事情」
NEWSポストセブン
ケンダルはこのまま車に乗っているようだ(ケンダル・ジェンナーのInstagramより)
《“ぴったり具合”で校則違反が決まる》オーストラリアの高校が“行き過ぎたアスレジャー”禁止で波紋「嫌なら転校すべき」「こんな服を学校に着ていくなんて」支持する声も 
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《12月1日に24才のお誕生日》愛子さま、新たな家族「美海(みみ)」のお写真公開 今年8月に保護猫を迎えられて、これで飼い猫は「セブン」との2匹に 
女性セブン
東京ディズニーシーにある「ホテルミラコスタ」で刃物を持って侵入した姜春雨容疑者(34)(HP/容疑者のSNSより)
《夢の国の”刃物男”の素顔》「日本語が苦手」「寡黙で大人しい人」ホテルミラコスタで中華包丁を取り出した姜春雨容疑者の目撃証言
NEWSポストセブン
石橋貴明の近影がXに投稿されていた(写真/AFLO)
《黒髪からグレイヘアに激変》がん闘病中のほっそり石橋貴明の近影公開、後輩プロ野球選手らと食事会で「近影解禁」の背景
NEWSポストセブン
秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン