ライフ

花粉症は撲滅できるのか 林野庁に見解を聞いてみた

スギの伐採や無花粉苗の供給スピードは遅い

 今年も花粉症の人にはつらい季節がやってきた。国民の3人に1人が罹患しているといわれる花粉症は、国の年間医療費の負担だけでも2800億円以上と推計されている。それだけではない。花粉シーズン中のレジャーや小売り、外食など個人消費の落ち込みによる経済的な損失が、5000億~7000億円に上ると試算するシンクタンクまである。

 もはや国を挙げての対策が求められる中、昨年3月には「スギ花粉の話をしているだけでも、何となく目がかゆくなってくる」と、自らも花粉症だと告白した安倍首相が、参院の予算委員会でこう言及した。

「花粉症は社会的、経済的にも大きな影響を与えている。来年度から発生源のスギの伐採と同時に、花粉の少ない苗木への植え替えを支援する」

 スギの伐採促進や、無花粉・少花粉の新品種開発に関する取り組みはこれまでも度々報じられてきたが、花粉の飛散量は一向に減る気配はなく、花粉症患者も年々増え続けている。

 いったい現状はどうなっているのか――。調べていくと、“花粉症撲滅”を願ってやまない患者にとっては絶望的なデータが次々と出てきた。

 現在、日本には全森林の2割にあたる約448万ヘクタール、40~50億本ものスギが存在している。そのほとんどは戦後、住宅用木材として使うために植えられた人工林だ。だが、1960年代より貿易自由化によって海外から安価なスギが輸入されるようになったことで、日本のスギ林は伐採や植林が進まずに放置された。それが大量の花粉を撒き散らしているというわけだ。

 にもかかわらず、年間で伐採されるスギは1500万本足らずで、相変わらずスギの植林が行われている現実もある。

 一方、無花粉や少花粉スギの品種はすでに130種類以上が開発されているため、林野庁は補助金制度を出しながらこうした品種への植え替えを促しているが、「花粉症対策苗木」の供給量は全苗木の約15%、258万本(2014年度)しかない。このままのペースでいけば、100年経っても200年経っても花粉症の撲滅は果たせない。

 そこで、林野庁森林利用課・森林環境保全班の担当者に、さまざまな疑問をぶつけてみた。

関連記事

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン