どれだけの時が経っても癒えない夫を失った悲しみ。その思いを抱えながら、ひとりになった人生をどう生きたらいいのか。高齢問題研究家のおちとよこさんは、「まず衣食住を大切にしてほしい」と話す。
「着替えがめんどうになって、パジャマのままで過ごしたり、掃除をしなくなったり、食べてくれる人がいなくなったからと料理をしなくなる人も少なくありません。夫の死で気力が萎え、悲しみに打ちひしがれた結果、そうした習慣を変えてしまうと、どんどん気持ちが滅入ってしまいます。
以前の生活スタイルをできるだけ変えないように心がけてください。もし仕事をしていたのなら、頻度は減らしてもいいですが、続けたほうが気がまぎれます」(おちさん、以下「」内同)
そして多少無理をしてでも、人と話したほうがいいと話す。
「ひとりになると、旦那さんのことばかりを考えてしまいます。ですから、お子さんに旦那さんの思い出話をするのでも、友人にまったく関係のない話をしてもいい。とにかく孤独にならないようにしてください。お子さんの生活を邪魔したくなければ、会ったり電話したりせず、メールを送るだけでもいいのです。
それから、涙はがまんしないこと。がまんはつらい思いを長引かせるだけです。むしろ思い切り泣いたほうがいいくらいです」
そして、夫の死後、少し落ち着いたら、これからしたいことをノートに書き出すといい。
「本当は泊まりがけで旅行に行きたかったけど、夫に文句を言われるから、日帰りのバス旅行でがまんしていたとか、あるはずです。そうすると『もう少し元気になったら行ってみよう』と思えるようになって、ひとりの時間の過ごし方が見えてきます」
夫を亡くした悲しみと向き合う強さを持つ。それが夫の死後、充実した生活を過ごすための第一歩だ。
※女性セブン2016年3月10日号