そう聞くと確かに髪には良さそうだ。だが、それだけでは“育毛効果”の説明にはならない。リュミエリーナに聞いても「取材はお受けできない」とのこと。前出の販売店ホームページにも「毛が生える」といった主旨の説明は見当たらない。前出の板羽氏は次のように解説する。
「水分量が少なくなると髪の表面が毛羽立ったり、ザラザラになります。だから手櫛やブラシに引っかかりやすい。それに対して、水分量を維持するヘアビューザー使用者には指通りがなめらかになる人が多いようです。そのためブラッシングしたときに絡まなくなり、抜け毛が少なくなったのでしょう。“髪が生えた”というわけではなく、“抜けにくくなった”ということかもしれません」
確かに薄毛に悩む人からすれば、抜けるペースが落ちれば“髪が増えた”と感じるのかもしれない。それはそれで喜ばしいことだが、それでは“魔法のドライヤー”と呼ぶには物足りない。だが、タカナシクリニックの高梨真教医師は「育毛効果はあるかも」と指摘する。
「遠赤外線は光線の波長が長いので頭皮の内側まで届く。つまり頭皮の内側の血行を促進する効果が考えられます。
髪の栄養となるアミノ酸やミネラル、ビタミンなどは頭皮に張り巡らされた毛細血管を通して毛根に運ばれます。血行を促進することで髪が生えやすい栄養状態となるのです。要は育毛サロンなどで行なう頭皮マッサージと似たような効果になっている可能性があるのです。
発毛効果がある医薬品成分として知られるミノキシジルは、もともと血管拡張剤として開発されたことからわかるように、血行と発毛には深い関係があるのです」
髪を美しくする目的の遠赤外線ドライヤーが思わぬ“副産物”を生んだという分析である。
※週刊ポスト2016年3月11日号