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資生堂 薄毛研究強化の背景に化粧品需要の伸び悩みあり

資生堂が薄毛研究を強化する理由は?(資生堂本社)

〈毛髪再生へ臨床研究 資生堂、脱毛部に細胞移植〉──朝日新聞(2月26日付)の記事によれば、資生堂が再生医療の技術を駆使し、毛髪を蘇らせる研究を進めているという。年内に臨床研究を始める見込みで、2018年中の実用化をめざすという。

 あと2年でハゲが治るかもしれない──世の薄毛男性に福音をもたらす画期的な研究のカギとなるのは、「自家細胞移植」だ。

 これは、患者の頭皮から採取した「底部毛根鞘細胞(ていぶもうこんしょうさいぼう)」(毛髪の成長に重要な役割を果たす細胞)を培養して人工的に増やし、患者の頭皮に戻して毛髪を蘇らせる移植技術のこと。

 自家細胞移植への期待の高さともに驚いたのは、資生堂という企業がここまで熱心にハゲ研究に勤しんでいたことだ。

「一瞬も一生も美しく」「日本の女性は美しい。」などのキャッチコピーで知られる同社は、女性向けの化粧品の製造・販売というイメージが強い。しかし、意外にも資生堂の育毛研究は昨年で「100周年」を迎えた歴史ある事業なのだ。化粧品業界誌『月刊 国際商業』を発行する国際商業出版の栗田晴彦社長が解説する。

「明治5年(1872年)創業の資生堂は日本における“育毛のパイオニア”です。育毛剤の草分け的存在といわれるヘアトニック『フローリン』を大正4年(1915年)に発売し、以来100年にわたって育毛の研究に取り組んできた」

 その歴史の中で資生堂は質の高い商品をいくつも世に送り出してきた。1982年には育毛剤「薬用不老林」が大ヒットし、2005年には毛髪を長く、太く、すこやかに成長させる成分「アデノシン」を含むスカルプケア商品「薬用アデノゲン」を発売し、話題になった。さらに海外展開も進んでいるという。

「資生堂は海外の薄毛市場にも積極的に目を向けてきた。2011年からアジア市場に展開した育毛剤『ザ・ヘアケア アデノバイタルスカルプエッセンス』は発売から1年半で売り上げ100万本を記録する大ヒットとなりました」(同前)

 そんな老舗の資生堂がハゲ対策の切り札として近年、力を注いできたのが今回の自家細胞移植なのだ。

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