2014年11月に再生医療新法が施行され、これまで医療機関にしか認められなかった再生医療のための細胞の培養や加工について、企業も一定の条件を満たせば行なえるようになった。それもあって資生堂はレプリセル社との提携や神戸の拠点開設など、再生医療による毛髪再生の実現に向けた布石を着々と打ってきた。
その背景には化粧品市場の縮小も影響しているようだ。高齢化が進み、国内の化粧品需要は伸び悩むとみられている。
その一方、中高年男性の薄毛市場は潜在的な成長分野だ。日本人の男性で薄毛を認識している人は約1300万人とされるが、資生堂はこの“金脈”に目を向けたと解説するのは経済アナリストの森永卓郎氏だ。
「これまでになかった技術を生み出せれば、大きな反応が期待できる分野です。中高年男性の薄毛市場では長年の研究の蓄積もある。資生堂は今後、この分野により注力していくのではないでしょうか」
2018年には「日本の男性は美しい。」なんてキャッチコピーが打ち出されているかもしれない。
※週刊ポスト2016年3月18日号