先に紹介したソフトバンクグループ社債は、JCRではAマイナス(Aより若干劣る)と格付けされているが、S&PはBBプラスと低い。だからといって信用できないかというと、それほど単純な話でもない。
「ソフトバンクは10兆円を超える莫大な有利子負債を抱えているため、どうしても高い格付けを得ることはできません。しかし実際は、携帯電話など人々が日々利用して安定した収益が見込める事業を抱えているので、3年や5年で破綻するとは考えにくい。社債を選ぶ際は格付けだけではなく、発行体がどんな事業を行なっているのかなど、多角的に考える必要があります」(同前)
格付けや企業名だけで判断すると、万が一のリスクが自分の身に振りかかる。ファイナルシャルプランナーの前川貢氏もこう言う。
「東芝やシャープといった絶対安泰だと思われていた企業でも何が起こるか分からない時代です。満期になるまでの3年後や5年後を見極めるのは難しい。マイナス金利になったからといって、焦って長期間の社債を大量に買う必要はありません。貯蓄用の資金と投資用の資金を分けておいて、投資用資金の一部で社債を購入するといいでしょう」
個人向け社債はマイナス金利時代を上手に生き抜くオプションになるはずだ。
※週刊ポスト2016年3月18日号