以前、1600メートルは馬の距離適性を見る分水嶺と言いました(第5回)。道中、必ずタメを作らなければ勝てません。その点、1400メートルは融通が利く。スピードのみの一本調子でも勝てるし、マイルのように道中でタメを利かせることもできる。スプリンターかマイラー以上か、どちらのタイプなのか。体調が定まらないこの時期の牝馬にとっては、走らせてみたい距離です。
1800メートルのフラワーCも含め、たとえ桜花賞に出られなかったとしても、秋を念頭に入れて走らせることができます。
トライアルを桜花賞の前哨戦と見るのか、さらに先を見据えるのか。考え方でトライアルの奥行きが変わっていくのだと思います。
さて、今春のウチの牝馬事情です。エルビッシュが2勝を挙げ、クラシック戦線に名乗りを上げています。距離を伸ばして結果を出しただけに先々が楽しみです。
●すみい・かつひこ 1964年石川県生まれ。中尾謙太郎厩舎、松田国英厩舎の調教助手を経て2000年に調教師免許取得。2001年に開業、以後14年で中央GI勝利数23は歴代2位、現役では1位。ヴィクトワールピサでドバイワールドカップ、シーザリオでアメリカンオークスを勝つなど海外でも活躍。競馬の他、馬文化普及や障害者競馬などにも尽力している。主な管理馬はほかにカネヒキリ、ウオッカ、エピファネイアなど。
※週刊ポスト2016年3月18日号