「優勝した2011年のW杯前から主力メンバーが固まっているので、新しく加入した選手はチームに溶け込むのが難しかった。仲がいい人同士が集まる派閥的なものはありましたよ。やっぱり女ですもん」
それを融合するのが絶対的な存在の澤だったといえるが、彼女が抜けたことで“世代間対立”が鮮明になってしまったようだ。
2011年のW杯、2012年のロンドン五輪でもメンバー入りしたある選手は、佐々木則夫監督の変質を指摘する。
「ロンドン五輪が終わった頃から、おやじギャグを言わなくなった。それまではお笑いキャラだったのに、急に威厳を出そうとしていた。選手たちは親しみを込めて『ノリオ』と呼んでいたのに、監督は『バカにしている』と気にしていたみたい。選手たちとの関係もうまくいかなくなった」
W杯優勝後の国民栄誉賞などで勘違いしてしまった選手もいたようだ。
「なでしこの“下積み時代”を知らないある選手は、急に注目を浴びて天狗になったのか、先輩選手にも敬語ではなく呼び捨てするようになった。みんな苦々しく思いながらも、誰も注意できなかった」(同前)
敗退を糧にして、再び世界一に返り咲けるか。なでしこの真価が問われている。
※週刊ポスト2016年3月25日・4月1日号