ライフ

武将の甲冑 秀吉時代はファッション性高く自己表現の手段に

直江兼続の「金小札浅葱糸威二枚胴具足」(上杉神社所蔵)

 NHK大河ドラマ『真田丸』の影響もあって、戦国武将に注目が集まっている。では彼らが身にまとう「甲冑」はどのように変遷していったのか。四国大学文学部日本文学科准教授の須藤茂樹氏が解説する。

 * * *
 1467(応仁元)年の応仁の乱以降、従軍する武士の数は増えていき、合戦は激化していった。それとともに、甲冑は全身を完全に防備する形へ進化した。

 こうした流れを革新的に変えたのが織田信長だった。奇異とも映る南蛮渡来の洋装を好み、自らが身につける具足にも取り入れた。加えて、当時最新鋭の武器である鉄砲に対抗し得る強靭な甲冑を求めた。ファッション性と戦略的な実用性を兼ね備えた鎧兜で合戦に繰り出したのだ。

 信長亡き後、豊臣秀吉の時代になると、よりファッション性が高まる。黄金好きな秀吉は金銀を施した派手な甲冑を好み、それを見た武将たちは自己表現の手段として次々と真似た。個性豊かな甲冑を誕生させたのである。

 信長や秀吉が派手だったのに対して、家康の時代になると甲冑はシンプルになった。質実剛健な家康の性格を表わすように、実用性に富んだ甲冑が多く作られた。

 以後、続く天下泰平の世で甲冑は、各地の藩主だけが作ることのできる特別な存在となった。身を守るという本来の役割から、権威を誇るための象徴となったのである。

※週刊ポスト2016年3月25日・4月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

復帰会見をおこなった美川憲一
《車イス姿でリハビリに励み…》歌手・美川憲一、直近で個人事務所の役員に招き入れていた「2人の男性」復帰会見で“終活”にも言及して
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
公設秘書給与ピンハネ疑惑の維新・遠藤敬首相補佐官に“新たな疑惑” 秘書の実家の飲食店で「政治資金会食」、高額な上納寄附の“ご褒美”か
週刊ポスト
高市早苗首相(時事通信フォト)
高市早苗首相の「官僚不信」と霞が関の警戒 総務大臣時代の次官更迭での「キツネ憑きのようで怖かった」の逸話から囁かれる懸念
週刊ポスト
男気を発揮している松岡昌宏
《国分騒動に新展開》日テレが急転、怒りの松岡昌宏に謝罪 反感や逆風を避けるための対応か、臨床心理士が注目した“情報の発信者”
NEWSポストセブン
水原受刑者のドラマ化が決定した
《水原一平ドラマ化》決定した“ワイスピ監督”はインスタに「大谷応援投稿の過去」…大谷翔平サイドが恐れる「実名での映像化」と「日本配信の可能性」
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン
現在は三児の母となり、昨年、8年ぶりに芸能活動に本格復帰した加藤あい
《現在は3児の母》加藤あいが振り返る「めまぐるしかった」CM女王時代 海外生活を経験して気付いた日本の魅力「子育てしやすい良い国です」ようやく手に入れた“心の余裕”
週刊ポスト
熊本県警本部(写真左:時事通信)と林信彦容疑者(53)が勤めていた幼稚園(写真右)
《親族が悲嘆「もう耐えられないんです」》女児へのわいせつ行為で逮捕のベテラン保育士・林信彦容疑者(53)は“2児の父”だった
NEWSポストセブン
リクルート社内の“不正”を告発した社員は解雇後、SNS上で誹謗中傷がやまない状況に
リクルートの“サクラ行為”内部告発者がSNSで誹謗中傷の被害 嫌がらせ投稿の発信源を情報開示した結果は“リクルートが契約する電話番号” 同社の責任が問われる可能性を弁護士が解説
週刊ポスト
上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン