国際情報

シリアで拘束の安田純平氏が託した「イスラム国の重大資料」

安田純平氏が託した重大資料とは(同氏のTwitterより)

 昨年6月9日、本誌記者に送られてきたメールは、こんな書き出しだった。〈突然の相談で恐縮です〉──それに続けてイスラム国(IS)の内部資料を入手したと綴られていた。送り主はフリージャーナリストの安田純平氏。

 3月16日、安田氏と思われる人物が拘束されている動画が、インターネット上に公開された。動画を公開したシリア人男性は各種メディアに対し、安田氏がシリアでイスラム過激派組織「ヌスラ戦線」に拘束されたと証言している。

 安田氏がシリアに入ったのは、本誌記者とメールのやり取りをした直後だったとみられている。安田氏と親しいフリージャーナリスト・鈴木美優氏の話。

「安田さんはトルコ南部のアンタキアからシリア北西部のイドリブを目指す取材を計画していたようです。危険なルートであることを自覚し、緊張している部分もありましたが、イスラム国に対抗しようとする勢力への取材に興味を持っていました。ただ昨年の6月21日を最後に、連絡は途絶えてしまいました」

 安田氏はトルコからシリアへと国境を越えた付近で拘束されたとみられている。その直前、冒頭のメールを含む本誌記者とのやり取りで安田氏は「トルコで入手したISに関する重大資料を記事にしたい」との考えを述べていた。

 安田氏の安否が確定しない中で、資料の詳細を説明するのは控えるが、文書、写真に加え、映像も含まれるものだ。3月22日にもベルギーの連続爆破テロの犯行声明を発表したIS。安田氏の資料の中にはそのISの資金管理に関係すると思われる資料もあり、それを分析した安田氏は〈イスラム国との戦いは「テロリスト」というより、国家に対して行うのと同等の規模で臨まなければならないのでは〉とメールに書き記している。

 そうした問題意識が、安田氏を危険なシリアに向かわせたのだろうか。

 安田氏と連絡が取れなくなり、シリアで拘束されたという情報が関係者の間で流れた昨年7月上旬、外務省邦人テロ対策室は本誌の取材に対し、「(安田氏が)拘束されたのではないかという情報は把握しており、事実確認を含めて情報収集している」と話していた。しかし、今回動画が公開されたことを受けて改めて取材すると「事案の性質上、回答は控えます。政府としては、様々な情報網を駆使して全力で対応に努めております」(外務省報道課)と答えるのみで、この間の“情報収集”の成果が何なのかはわからない。

関連キーワード

トピックス

裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン