国際情報

二人っ子政策の中国 子供から親への堕胎要求相次ぐ

上海の街並み

 中国の子供をめぐる政策は様々な「事件」を引き起こしている。現地の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏が指摘する。

 * * *
 2016年1月1日から一人っ子政策が緩和され、正式に二人っ子政策が実施された。だが、政策が本格的に始動を始めた前後から、地元メディアには政策導入の副作用ともいうべき怪事件が画面や紙面を賑わすこととなり大きな話題を呼んだのだった。

 例えば、昨年12月1月14日『大衆ネット』に掲載された動画である。この動画のなかに登場する男の子は年のころ3歳前後と思われるが、その子供が涙ながらに「二人目の子供を産まないでほしい。生んだら死ぬ」と訴える。

 自殺を引き合いに出してまで出産を防ごうとする動機は何か。動画のなかでその男の子は、「いまパパやママが僕に向けられている愛情がよりもっと大きな愛情が妹や弟に向けられるから」というものだった。「そうなったら僕は生きていけない」とまで語っているのが驚きである。

 これだけであれば子供のたわごとと片づけられるかもしれないが、類似のニュースはこれにとどまらない。

 1月19日付『楚天日報』は、〈中2男子は母親に人工流産を強要 手術しなかったら高校受験には参加しないと脅す〉というショッキングな見出しを付けて同様の話題を報じている。

 両親は昨年10月、政府が一人っ子政策を緩和するとの見通しから子供をつくることを決断。妊娠にも成功したが、子供からの思わぬ抵抗にあったというのだ。この家庭内の問題がメディアに取り上げられた理由は、結局この女性が第2子出産を断念し、堕胎手術を受け、医師にその理由を漏らしたからであった。

 また同じく13歳の女子の抵抗にあったのは、湖北省武漢の女性である。1月20日付『海峡法治在線』によると、この女性は13歳の娘に妊娠を知らせた瞬間から娘が激しく抵抗するようになり、最後には登校拒否となり、さらにはビルの上から飛び降りると脅して大きな騒ぎとなったという。

 結局、13週目であった女性は涙ながらに人工堕胎を受け入れるしかなかったという。

 兄弟は生物として最初のライバルといわれるが、これはちょっと激し過ぎる。これも小皇帝の弊害なのか。

関連キーワード

トピックス

新恋人のA氏と腕を組み歩く姿
《そういう男性が集まりやすいのか…》安達祐実と新恋人・NHK敏腕Pの手つなぎアツアツデートに見えた「Tシャツがつなぐ元夫との奇妙な縁」
週刊ポスト
女優・八千草薫さんの自宅が取り壊されていることがわかった
《女優・八千草薫の取り壊された3億円豪邸の今》「亡き夫との庭を遺してほしい」医者から余命宣告に死の直前まで奔走した土地の現状
NEWSポストセブン
あとは「ワールドシリーズMVP」(写真/EPA=時事)
大谷翔平、残された唯一の勲章「WシリーズMVP」に立ちはだかるブルージェイズの主砲ゲレーロJr. シュナイダー監督の「申告敬遠」も“意外な難敵”に
週刊ポスト
左から六代目山口組・司忍組長、六代目山口組・高山清司相談役/時事通信フォト、共同通信社)
「六代目山口組で敵う人はいない」司忍組長以上とも言われる高山清司相談役の“権力” 私生活は「100坪豪邸で動画配信サービス視聴」も
NEWSポストセブン
35万人以上のフォロワーを誇る人気インフルエンサーだった(本人インスタグラムより)
《クリスマスにマリファナキットを配布》フォロワー35万ビキニ美女インフルエンサー(23)は麻薬密売の「首謀者」だった、逃亡の末に友人宅で逮捕
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左/バトル・ニュース提供、右/時事通信フォト)
《激しい損傷》「50メートルくらい遺体を引きずって……」岩手県北上市・温泉旅館の従業員がクマ被害で死亡、猟友会が語る“緊迫の現場”
NEWSポストセブン
財務官僚出身の積極財政派として知られる片山さつき氏(時事通信フォト)
《増税派のラスボスを外し…》積極財政を掲げる高市早苗首相が財務省へ放った「三本の矢」 財務大臣として送り込まれた片山さつき氏は“刺客”
週刊ポスト
WSで遠征観戦を“解禁”した真美子さん
《真美子さんが“遠出解禁”で大ブーイングのトロントへ》大谷翔平が球場で大切にする「リラックスできるルーティン」…アウェーでも愛娘を託せる“絶対的味方”の存在
NEWSポストセブン
ベラルーシ出身で20代のフリーモデル 、ベラ・クラフツォワさんが詐欺グループに拉致され殺害される事件が起きた(Instagramより)
「モデル契約と騙され、臓器を切り取られ…」「遺体に巨額の身代金を要求」タイ渡航のベラルーシ20代女性殺害、偽オファーで巨大詐欺グループの“奴隷”に
NEWSポストセブン
イギリス出身のボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《ビザ取り消し騒動も》イギリス出身の金髪美女インフルエンサー(26)が次に狙うオーストラリアでの“最もクレイジーな乱倫パーティー”
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKI(右/インスタグラムより)
《趣里が待つ自宅に帰れない…》三山凌輝が「ネトフリ」出演で超大物らと長期ロケ「なぜこんなにいい役を?」の声も温かい眼差しで見守る水谷豊
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 維新まで取り込む財務省の巧妙な「高市潰し」ほか
NEWSポストセブン