「ソウル市から直接お願いしたことはない。外交ルートや大使館を通じて要請が行ったという話は聞いている。実は朴大統領との会談は、もともと舛添氏サイドから要望があったが、当初はスケジュールが決まっておらず、ぎりぎりになって最終日に面会できることになった。これまで朴大統領が外国の自治体の首長に会ったのは、舛添氏ただ一人。極めて異例のことだったようだ」

 その“栄誉”に与った舛添氏は、会談後の会見で上機嫌にこう語っている。

「大統領は『政治が大きな障害になっている』といったので、障害を取り除く方向で都知事として努力すると申し上げた。細かい点は安倍首相に直接伝える。都市外交として一定の成果が上がったと思うのは、18年ぶりに都知事が公式に招待されたこと。それだけでも大きな歴史の変わり目になっていると思う。大統領には、東京から日韓関係を良くすることは大きな意味を持つ、という寛大な心でお迎えいただいた」

 朴大統領との会談を実現させた自負心が、発言の端々からにじみ出ているようだ。この会見の席で、朴大統領から韓国人学校についての支援要請を受けたことを明かし、「できることは全力を挙げてやる」と述べている。

 そのほか、ソウル大学での講演では「9割以上の日本人は韓国が好き」という発言も飛び出すなど、韓国側へのリップサービスを繰り返した舛添氏。東京都の説明によれば、その後、昨年11月に韓国政府から正式な要請があり、今回の発表に至ったという。

「都知事は朴大統領に会えて舞い上がり、そのときにした口約束を後になって要請され、後戻りできなくなったのではないか」(韓国在住の日本メディア関係者)

●取材協力/河鐘基、藤原修平

※週刊ポスト2016年4月15日号

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