◆A氏の自宅に「ガサ入れ」

 第三者委はA氏と王将の不適切な取引については詳細に指摘したものの「会社と反社会的勢力の関係は確認できなかった」と結論付け、射殺事件との関係にも言及しなかった。その一方で、捜査機関はA氏周辺をあたっているという。伊藤氏が続ける。

「A氏は、バブル期に建設した福岡県内のゴルフ場を本拠としており、王将からも湯水の如く資金が流れていましたが、バブル崩壊後の2011年に民事再生法の適用を申請して倒産しました。

 ゴルフ場は現在、別の企業に売却されていますが、その売却過程でA氏が行なった増資が、虚偽の登記変更によるもの(電磁的公正証書原本不実記録・同供用)だった疑いがあるとして、1月に福岡地検がA氏の自宅や関係先に家宅捜索をかけています」

 この家宅捜索を巡っては、〈捜査当局は(中略)王将や大東さんをめぐるトラブルの情報収集の一環で男性(注・A氏)にも話を聴いている〉(1月20日付、産経新聞)などと報じられ、射殺事件の全容解明に絡んで当局がA氏に関心を抱いている様子が垣間見える。

「今は『大東氏の射殺事件』『A氏と王将の不適切な取引』『殺害現場に残された暴力団関係者の吸い殻』『ゴルフ場増資を巡る不正』というそれぞれがつながっているわけではありません。ただ、京都府警は射殺事件について福岡県警と合同捜査に乗り出しました。

 王将創業者の出身地も、A氏のゴルフ場も、吸い殻のDNA型が一致した暴力団関係者がいたのも、すべて福岡です。当局はなんとか点と点を結びつけることが射殺事件の全容解明につながるのではないかとみているわけです」(伊藤氏)

 王将は捜査の進展について「コメントする立場にない」としたが、興味深いのは、今回公表された第三者委の報告書とは別にある、A氏と創業家一族の関係を洗った「別の報告書」が存在していたことだ。

「大東氏は2000年に創業者長男の加藤潔氏から社長を引き継ぎ、会社とA氏の関係を清算しようと考えるようになっていきました。そうした中で過去の不適切な取引について再発防止委員会を設置して調査し、2013年11月に報告書をまとめさせています。しかし、当時の取締役たちでさえ、臨時取締役会で30分ほど読む時間を与えられただけだった。回収された報告書を大東氏は封印した。

 大東氏としては、報告書を公表すればA氏や加藤潔氏、欣吾氏の兄弟を告訴する必要に迫られ、自身も無傷ではいられないと考えたのでしょう。封印はA氏サイドにとってありがたかったでしょうが、報告書の存在が重石にもなっていたはず。京都府警はこの2013年11月の報告書も入手し、捜査を進めているはずです」

 大東氏が射殺されたのは、この「もう一つの報告書」がまとめられたわずか1か月後のことだった。こうした点と点を一本の線につなげられるかに、事件の全容解明がかかっている。

※週刊ポスト2016年4月22日号

関連記事

トピックス

“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
ジャンボな夢を叶えた西郷真央(時事通信フォト)
【米メジャー大会制覇】女子ゴルフ・西郷真央“イップス”に苦しんだ絶不調期を救った「師匠・ジャンボ尾崎の言葉」
週刊ポスト
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
前回のヒジ手術の時と全く異なる事情とは(時事通信フォト)
大谷翔平、ドジャース先発陣故障者続出で急かされる「二刀流復活」への懸念 投手としてじっくり調整する機会を喪失、打撃への影響を危ぶむ声も
週刊ポスト
単独公務が増えている愛子さま(2025年5月、東京・新宿区。撮影/JMPA)
【雅子さまの背中を追いかけて単独公務が増加中】愛子さまが万博訪問“詳細な日程の公開”は異例 集客につなげたい主催者側の思惑か
女性セブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
「週刊ポスト」本日発売! トランプ圧力で押し寄せる「危ない米国産食品」ほか
NEWSポストセブン