ネットニュース編集者・中川淳一郎氏
インターネットとSNSが普及したことで、企業やサービスへ直接、意見を届けることが容易になった。ところが、手段が手軽になったことで、事態を混乱させるだけのクレームも目立つようになった。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、安易なクレームの弊害が何を引き起こしているのかについて解説する。
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クレームという行為は、損害発生時にそれを補してもらうためのものだと思っていたのだが、どうもそうではないらしい。最近ツイッター社の公式ツイッターIDがデマをまき散らかす人間に対し「お願い」をしたところ、なぜか同社が罵倒された。
〈Twitterの有料化というツイートを流されている方がいらっしゃるようです。定期的に出てくるうわさですが、他の方のご迷惑ですので、おやめくださいね。〉
至極丁寧な物言いだし、主張も真っ当なのだが、こんな声が寄せられた。
〈なんで止めなきゃいけないの?表現の自由でしょ? TwitterJPは馬鹿なの?〉
〈この頃のクソみたいなアップデートやめろ。まず星に戻せ。いいから星に戻せ。このクソが〉
もちろん、「便利なので有料にしても使い続けます」という声が多数だが、よくぞここまで強い言葉で文句を言えるものだ。ちなみに2つ目の意見にある「星」とはかつて「お気に入り」を意味する「fav」という機能が星印だったが、今は「いいね」に変わりハートマークになったことを言っている。まぁ、些末なことで個人的嗜好でしかない。
デマ発生の背景には、同社の89億円の赤字が発表されたこともある。ちなみに2014年の消費増税のタイミングでは「1ツイート108円」というデマも登場した。ユーザー離れに繋がったり、株価に影響を与えかねないだけに、デマの打ち消しは必要なのに、クレーマーはその事情さえ理解しない。