国際情報

米在住中国人学者 文革時代の中国・食人行為の実態明かす

文革時代中国のカニバリズムの実態とは

 今年は中国を社会的に大混乱に追い込んだ文化大革命(1966~1976年)開始から今年で50年だが、文革時代に政治闘争などで殺された人々の身体が食べられるというカニバリズム(食人行為)が現実に行われていたことが分かった。

 文革時代について、広西チアン族自治区や上海市などで当時の関係者に聞き取り調査を行った米国在住の中国人学者が米政府系放送局「ラヂオ・フリー・アジア」のインタビューに応じて明らかにした。

 この中国人学者は宋永義氏で、米カリフォルニア州の大学講師として働いている。宋氏は昨年、文革時代の中国の地方政府の公式文書を入手し、その結果を電子書籍にまとめ公開している。

 宋氏によると、中国内陸部の広西チアン族自治区では文革時代の10年間で、約15万人の人々が自然死でない状態で死亡しているという。政治闘争に巻き込まれて殺されたか、拷問などによって死亡したとみられる。

 そのうちの約6万人は氏名や性別、住所なども記されておらず、公式な記録にも残っていない状態だ。

 さらに、同自治区のある村では、421人の村民がカニバリズムの犠牲になったと記されている。このほか、同自治区ではカニバリズムが行われたのは27の町村に及んでいるという。

 ある村では、かつて地主階級だった家庭で父親と母親、11歳と14歳の子供が殺されて、村人によって食べられてしまった。この地区では、この家族のほかに、35人もの人々がカニバリズムの犠牲になったという。

 宋氏によると、カニバリズムは地方の町村ばかりでなく、大都会でも行われていた。1968年10月中旬には上海市で起きた住民同士の武装闘争では5人が殺され、翌日も4人が殺害されている。

 武装した集団は殺害した市民の体を切り裂き、肝臓を抉り出して、焼いて食べていたという記録が公式文書に残されている。

 宋氏は「このようなカニバリズムの例は、調べれば調べるほど、中国のどの地方でも行われていたことが分かる。これらの調査記録は地方政府の倉庫の片隅に置かれている場合が多く、丹念に調べれば、その実態が明らかになっていくのは間違いない」と指摘している。

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン