さらに、会社が置かれた環境が変わり、より“守り”に強い社長が求められるようになった面もある。

「オーナー社長は株主の目を気にすることがないので、いまのようにIR(投資家に向けた業績動向の広報活動)をやる必要がなかった。その分、自分の時間もあり、多趣味で教養のある人が少なくなかった。

 昔は女性問題にもさほどうるさくなかったので、そちら方面での“豪傑”もいた。それに比べると、いまはどうしても人間の幅が狭くなってしまう。これには致し方ない面もありますが……」(吉崎氏)

 人間の幅の狭さが経営面だけでなく、人材の登用にも影響するとしたら問題だ。

「狭量な社長は有能な外部人材を遠ざけ、社内から自分より小粒な後継者を選んでしまいがち。自分が社長を退任した後も、自らの影響力を残して院政を敷くためです。だから時代を経るごとに、日本企業のトップが無難ではあるが、面白みのない人材で固められていくことになる」(片山氏)

 スティーブ・ジョブズしかり、ビル・ゲイツしかり、世界経済をリードするのは常にカリスマ経営者たちだ。日本経済復活のためにも、かつての「カリスマ経営者」たちが抱いていた志を継ぐ、新たな経営者の台頭が待たれる。

※週刊ポスト2016年5月27日号

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