このセグメントは、今後もまだまだ市場が拡大する余地があるだろう。なぜなら、近年は男も女も単身者が増えているからだ。誰しも会社から真っ直ぐ帰宅したくないと思う日がある。しかし、定食屋やファストフード店で孤独な晩ごはんだけというのは殺伐としているし、行きつけの店がない限り、1人で居酒屋などに立ち寄るのも難しい。
現在の昼のファストフードやコーヒーがメインで夜の「ちょい飲み」はサブという営業形態とは逆に、夜の「ちょい飲み」をメインにして昼のカフェや定食屋がサブという業態が出てくるかもしれない。
ただし、マニュアル型のチェーン店のオペレーションでは「ちょい飲み」ブームを新たな食文化にまで発展させるのは難しいと思う。料理のバリエーションに限界があるし、コの字型カウンターで他の客と互いに向き合ったり、壁を前にしたりして飲むというのは、とくに1人飲みでは侘しさが募るからだ。
それならコンビニやデパ地下で惣菜を買って帰り、自宅でゆっくり飲んだほうがマシだと考える人も多いに違いない。したがって、ファストフード店などの「ちょい飲み」ブームは長続きせず、今後は徐々に淘汰されていく可能性が高いだろう。
※週刊ポスト2016年6月3日号