モテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(54)が、昨今の自動車業界のトレンド・自動ブレーキについて専門家の意見も聞きつつ最新事情を解説する。
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ご同輩諸君。身体・頭脳ともに衰えが隠せない我らオッサン世代である。皆さん次にクルマを買う時は、是が非でも自動ブレーキ付きのクルマにしようと考えているに違いない。
今度新車を買うなら自動ブレーキ付きにしたいわけだが、いったいどのメーカーの自動ブレーキの性能がいいのか? 目を皿のようにしてカタログを比較すればある程度のことはわかるが、実際どうかは我々自動車ライターもお手上げ。なにしろ1台1台ぶつけて確かめてみるわけにもいかないので、公的機関におまかせするしかない。
テストはJNCAP(独立行政法人自動車事故対策機構)が行なっていて、1台ごとに採点されている。それを見ると、46点満点(昨年度まで)で7点台から46点まで、成績にものすごい差がある。「自動ブレーキが付いてれば安心」と思い込むのもまた、大きな勘違いなのである。
コストも問題だ。自動ブレーキには軽自動車用の4万円程度のものから、レクサス・LSの100万円まで、これまたものすごい差がある。しかも、100万円のレクサス・LSよりも、10万円のスバル・アイサイトの方が高得点だったりする。また、輸入車はまだほとんどテストが行なわれていない。
そこで、自動ブレーキに詳しい交通コメンテーターの西村直人氏に話を聞いてみた。
「東大卒だから優秀とは限らないのと一緒で、あのテストだけでは性能は測れません。歩行者を認識できる自動ブレーキも出ていますが、それがテスト項目に入ったのは今年4月から。公表は次回以降です」