国内

話題の「日本会議」に関係者「実像は地味な文化活動ですよ」

知られざる日本会議の活動実態は?

 あまり広く知られていない団体を取り扱った本が大ベストセラーになっている。『日本会議の研究』(菅野完・著/扶桑社新書)──。“研究対象”となった日本会議は安倍政権と密接な関係が指摘される一方、その規模や資金力、目的などの全貌は謎に包まれている団体だ。そこで、渦中の日本会議の幹部・関係者に直接、「日本会議とは何か」を聞いた。

 日本会議の代表委員を務める長谷川三千子・埼玉大学名誉教授は、「日本会議についての誤解を解きたい」として取材に応じた。

「日本会議は日本文化を正しく研究し、おかしな日本文化論を正常に戻す活動をしています。日本会議主催のシンポジウムなどで、私も聖徳太子の十七条の憲法といった日本文化をテーマに何度か講演をしました。実像は、地味な文化活動ですよ。

 それなのに、特に海外ではとんでもない誤解が広まっている。2年前に伊勢志摩で日仏の学者20人が集まってシンポジウムを開催した際に、フランス側から比較文化論の大御所の小堀桂一郎先生(東大名誉教授)を外してほしいといわれた。小堀先生が日本会議の副会長をされていて、極右団体のトップだと思われていたようです。とんでもない虚像が海外では広まっていて、正しい情報発信が必要だと思いました」

 安倍政権への影響力が大きいという見方にも長谷川名誉教授は首を傾げる。

「私の記憶では(安倍氏が勝利した)4年前の総裁選では、日本会議は(安倍氏に)非常に冷淡でしたよ。安倍政権に対し影響力があるということではなく、安倍政権の中心にいる方々が日本文化を大切にしようとしているだけだと思います。保守全体が幅広くネットワークをつくっているのが日本会議ですから、共感するところが多いのでしょう」

 そう語った上で「ただ、私は議員と日本会議がどこまで協力体制にあるのかはわからない」と付け加えた。「つくる国民の会」の代表発起人の政治評論家・屋山太郎氏は、自身と日本会議の関係について、こんな言い方をした。

「発起人なんてやっていたかな? 頼まれて“いいよ”っていったかもしれない。憲法改正には賛成だから。日本会議の中で活動はしていない。日本会議は安倍政権と関連があるから、あまり近づかないようにしている。政治性があると政治評論家としてはダメだから。

 安倍政権への影響力? 日本会議としては憲法改正に期待しているということだろう。安倍政権でなければやってくれないという期待はあると思うよ。日本会議は自民党の保守層にとって思想の源流というか、信条の拠り所のような存在じゃないかな」

※週刊ポスト2016年6月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト