芸能

番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 

『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)

『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)

 今、テレビ業界で相次いで行われているのが人気番組をレギュラーの曜日ではなく別の曜日に放送する“越境放送”だ。多くの視聴者を獲得するためには曜日と放送時刻を固定して視聴習慣をつけることが大事と言われるが、それとは真逆の戦略と言える。その狙いとは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。 

 * * * 
 6日の日曜夜に、『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』(テレビ朝日系、19時~20時56分)が放送されます。『帰れマンデー』は番組名の通り、通常は月曜に放送されている番組ですが、今回の特番は日曜の放送。この「全国大衆食堂グランプリ」という企画は今回が3回目であり、今年1月18日の土曜、4月6日の日曜に放送されるなど、むしろ月曜を避けているように見えますが、なぜなのでしょうか。 

 また、水曜にレギュラー放送されている『巷のウワサ大検証!それって実際どうなの会』(TBS系)も、5月31日(18時51分~20時54分)の土曜と、6月30日(20時55分~22時57分)の月曜に特番が放送されたばかり。こちらは通常放送とほぼ同じ内容だっただけに、ネット上には「なぜ月曜に?」などと戸惑う声があがっていました。 

 その他でも、これまで水曜夜が定番だった『旅バラ バスVS鉄道 乗り継ぎ対決旅24 夏に行きたい観光スポット攻略SP』(テレビ東京系、19時25分~21時54分)も、4日の金曜に放送。さらに7日夜の『アーティスト別モノマネ頂上決戦 俺にアイツを歌わせたら右に出るものはいない』(TBS系、20時55分~22時57分)もこれまで平日で唯一選ばれなかった月曜の放送が予定されています。 

 これ以外にも、このところ各局で曜日をまたいだ越境放送がしばしば見られますが、どんな背景や狙いがあるのでしょうか。 

編成の適正化とブランドの有効活用 

 このような曜日をまたいだ放送は視聴習慣に逆らうことになるほか、「今日は何曜日だった?」などと視聴者を混乱させてしまうため、本来はやらないはずの編成戦略。あえてそれをするのは、それなりの狙いがあるからでしょう。 

 その狙いが最もわかりやすいのは、通常放送とほぼ同じ内容を別の曜日で放送した『実際どうなの会』。同番組は昨秋にレギュラー放送がスタートしたばかりであり、番組のポテンシャルを測りかねている感があります。5月31日の土曜ゴールデンタイムと、6月30日の月曜ゴールデン・プライムタイムで放送したら、どれくらい視聴率が取れるのか。水曜放送よりも視聴率が取れるのか。これらを検証したいのではないでしょうか。 

 ちなみにレギュラー化される前の「特番時代は月曜ゴールデンタイムと水曜ゴールデンタイムで交互に放送したうえで水曜に決定した」という経緯がありました。他局の裏番組なども含め、視聴環境を変えることで結果を最大化させる編成を模索している様子がうかがえます。 

 次に『帰れマンデー』から見える狙いは、ブランドの有効活用。同番組は「帰れま10」という長年にわたる特番向けのヒット企画があるほか、『ポツンと一軒家』などとコラボするなどテレビ朝日の看板番組であり、「どのように生かして稼いでいくのか」が求められています。また、“旅”と“グルメ”という鉄板ジャンルの派生企画を立てやすい汎用性の高さも曜日をまたいで放送できる理由の1つでしょう。 

 近年、民放各局は放送収入の低下を補うべく、ドラマとアニメを中心にIP(知的財産)ビジネスを進めています。配信によって国内外で稼ぐのはもちろん、映画、舞台、イベント、ゲーム、本、グッズ。あるいは、番組フォーマットの販売、番組そのものやキャラクターなどのライセンス許諾などで幅広く収入を得ることに活路を見い出そうとしているのです。 

 それがバラエティにも求められるようになり、「人気番組のブランド力をさらに上げることでIPビジネスにつなげていこう」という動きが各局で見られるようになりました。そのためにはレギュラー放送されている曜日の視聴者だけでなく、別の曜日の視聴者にも訴求していくのは自然な流れでしょう。 

関連記事

トピックス

上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン
ラオス語を学習される愛子さま(2025年11月10日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまご愛用の「レトロ可愛い」文房具が爆売れ》お誕生日で“やわらかピンク”ペンをお持ちに…「売り切れで買えない!」にメーカーが回答「出荷数は通常月の約10倍」
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《10代少女らが被害に遭った“悪魔の館”写真公開》トランプ政権を悩ませる「エプスタイン事件」という亡霊と“黒い手帳”
NEWSポストセブン
「性的欲求を抑えられなかった」などと供述している団体職員・林信彦容疑者(53)
《保育園で女児に性的暴行疑い》〈(園児から)電話番号付きのチョコレートをもらった〉林信彦容疑者(53)が過去にしていた”ある発言”
NEWSポストセブン
『見えない死神』を上梓した東えりかさん(撮影:野崎慧嗣)
〈あなたの夫は、余命数週間〉原発不明がんで夫を亡くした書評家・東えりかさんが直面した「原因がわからない病」との闘い
NEWSポストセブン
テレ朝本社(共同通信社)
《テレビ朝日本社から転落》規制線とブルーシートで覆われた現場…テレ朝社員は「屋上には天気予報コーナーのスタッフらがいた時間帯だった」
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《愛子さまのラオスご訪問に「感謝いたします」》皇后雅子さま、62歳に ”お気に入りカラー”ライトブルーのセットアップで天皇陛下とリンクコーデ
NEWSポストセブン
竹内結子さんと中村獅童
《竹内結子さんとの愛息が20歳に…》再婚の中村獅童が家族揃ってテレビに出演、明かしていた揺れる胸中 “子どもたちにゆくゆくは説明したい”との思い
NEWSポストセブン
日本初の女性総理である高市早苗首相(AFP=時事)
《初出馬では“ミニスカ禁止”》高市早苗首相、「女を武器にしている」「体を売っても選挙に出たいか」批判を受けてもこだわった“自分流の華やかファッション”
NEWSポストセブン
「一般企業のスカウトマン」もトライアウトを受ける選手たちに熱視線
《ソニー生命、プルデンシャル生命も》プロ野球トライアウト会場に駆けつけた「一般企業のスカウトマン」 “戦力外選手”に声をかける理由
週刊ポスト
前橋市議会で退職が認められ、報道陣の取材に応じる小川晶市長(時事通信フォト)
《前橋・ラブホ通い詰め問題》「これは小川晶前市長の遺言」市幹部男性X氏が停職6か月で依願退職へ、市長選へ向け自民に危機感「いまも想像以上に小川さん支持が強い」
NEWSポストセブン
割れた窓ガラス
「『ドン!』といきなり大きく速い揺れ」「3.11より怖かった」青森震度6強でドンキは休業・ツリー散乱・バリバリに割れたガラス…取材班が見た「現地のリアル」【青森県東方沖地震】
NEWSポストセブン