ビジネス

資金・人材・設備の「中小企業3ない」に大前研一氏が解決策

スマホなら最初から世界展開も可能 AFP=時事

 4月上旬に大前研一氏が上梓した『「0から1」の発想術』(小学館)が大きな反響を呼び、発売わずか1週間で増刷となった。大前氏は、「いま、新しいビジネスを生み出すチャンスは誰にでも広がっている」と語る。

 * * *
「無から有」を生み出す「ゼロイチ」「ゼロワン」という言葉が、現代のビジネスのキーワードになっている。

 その発想術をまとめた拙著『「0から1」の発想術』に寄せられた多くの反響を見ると、イノベーションを起こすための具体的な方法論を知りたい人が多かったのだと考えられる。

「0から1」「無から有」というと、ベンチャー企業やスタートアップの専売特許と思いがちだが、そうではない。日本の企業の99%を占める中小企業こそ、「0から1」「無から有」の発想によるイノベーションで新しいビジネスにチャレンジすべきなのだ。

 ところが、多くの中小企業の経営者やビジネスマンは、「資金がない」「人材がいない」「設備が足りない」といった理由で、新たな一歩を踏み出せないでいる。新規事業を打ち出したとしても、従来のビジネスの延長であることが多い。しかし、今の時代は「3つのクラウド」を活用すれば、中小企業の3つの「ない」は簡単に解決できる。

 20世紀のビジネスの三要素は「人・モノ・カネ」と言われた。が、それが「クラウドソーシング」「クラウドコンピューティング」「クラウドファンディング」という「3つのクラウド」で代替できるようになり、少人数でも(極端に言えば人でも)、あるいは設備や資金がなくても、明確な事業計画さえ提示できれば新たなビジネスが展開できる時代になったからである。

 人材は、クラウドソーシングで国内外の有能な人たちに外注すれば、これまでの数分の1~数十分の1のコストで済む。ハードウエアやソフトウエアは、クラウドコンピューティングを利用すれば、巨大なサーバーなどを自前で持つ必要はなく、スケーラブル(規模の拡大が可能)だ。事業資金も、良いアイデアであればクラウドファンディングによって不特定多数の人たちから調達できる。

 要するに、「人・モノ・カネ」がなくても、アイデアと事業計画さえ優れていれば、どんどんビジネスを拡大できるのだ。言い換えれば、21世紀は「人・人・人」であり、“尖った人間”が1人いれば、古い秩序を破壊できる。「資本が小さい」とか「人材が少ない」といった中小企業の概念にとらわれてはいけない。クラウドを活用することで、新たなビジネスのヒントが山ほど出てくるのだ。

※SAPIO2016年6月号

関連記事

トピックス

マムカ司令官
【ウクライナの戦場取材でYOASOBI】報道カメラマンがウクライナで戦うジョージア部隊「世界初の最前線取材」の許可を得るまで ドーベルマンとフィアット500に乗り、車内で『夜に駆ける』
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《交通事故で骨折と顔の左側の歯が挫滅》重傷負ったタレントの大東めぐみ「レギュラーやCM失い仕事ほぼゼロに」後遺症で15年間運転できず
NEWSポストセブン
ポータブルトイレの大切さを発信するYoutuber・わさびちゃん
「そもそもトイレの話がタブー過ぎる」Youtuberわさびちゃんが「トイレ動画」を公開しまくるようになったきっかけ「芸人で恥ずかしいこともないし、夫に提案」
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《事務所が猛反対もプロ野球選手と電撃結婚》元バラドルの大東めぐみ、人気絶頂で東京から大阪へ移住した理由「『最近はテレビに出ないね』とよく言われるのですが…全然平気」
NEWSポストセブン
全国で車中泊をしているわさびちゃん夫婦。夫は元お笑い芸人のピーチキス・けん。
YouTuber・わさびちゃんが「トイレ動画」でバズるまでの紆余曲折「芸人時代に“女”を求められたり、男性芸人から嫉妬されたり…」
NEWSポストセブン
悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《借金で10年間消息不明の息子も》ビッグダディが明かす“4男5女と三つ子”の子供たちの現在「メイドカフェ店員」「コンビニ店長」「3児の母」番組終了から12年
NEWSポストセブン
リシェット
戦場取材に欠かせない「フィクサー」とは? ウクライナ入りした報道カメラマンが紹介された“取材に愛犬を連れて来る男” ギャラは「1日1500ドル」と法外な金額に
NEWSポストセブン
女児盗撮の疑いで逮捕の小瀬村史也容疑者(37)。新たに”わいせつ行為”の余罪が明らかになった
「よくタブレットで子どもを撮っていた」不同意わいせつ行為で再逮捕の小瀬村史也容疑者が“盗撮し放題だったワケ” 保護者は「『(被害者は)わからない』の一点張りで…」
NEWSポストセブン
成年式を控える悠仁さまと第1子を出産したばかりの眞子さん(写真・右/JMPA)
眞子さん、悠仁さまの成年式を欠席か いまなお秋篠宮家との断絶は根深く、連絡を取るのは佳子さまのみ “晴れの日に水を差す事態”への懸念も
女性セブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《多産DVを語ったビッグダディ》「子どもができたら勝手に堕ろすんじゃないぞ」4男6女の父として子供たちに厳しく言い聞かせた理由
NEWSポストセブン
ボニー・ブルーとの2ショット(インスタグラムより)
《タダで行為できます》金髪インフルエンサー(26)と関係を持った18歳青年「僕は楽しんだから、被害者になったわけじゃない」 “捕食者”との批判殺到に反論
NEWSポストセブン