国内

役人が巨額費用を使って得た結論は「天災予知は不能」

子供たちもボランティアに参加 共同通信社

 我々は今回の地震で、あらためて日本人の思いやり、そして強さを目の当たりにした。
 
 熊本・大分の人々は度重なる大きな揺れの中でも助け合いながら行動し、多くの命が救われた。自衛隊は夜を徹して、救助作業にあたった。避難所では、水や食料さえ不足して極限状態に置かれながらも秩序とモラルを失わず、譲り合って暮らす姿が報じられた。熊本市内の避難所では、空腹と不安でぐずる子供に、赤の他人である高齢男性が貴重な食料であるはずのお菓子を与えていた。
 
 5年前の震災を経て、日本人は多くの知恵と教訓を得た。熊本の避難所からは、不足している物資の情報がツイッターやフェイスブックで次々に投稿され、数多くシェアされ拡散されて、近隣県から直接物資を届ける人も現れた。国道が寸断されて通れないならば、車が実際に通ることができた迂回道路をネットで共有して、そこから物資を供給しようという試みも始まった。
 
 いまも避難を余儀なくされ、不自由な生活を送っている人々は多い。だが、幾度もの天災から立ち上がり、誇るべき国土を作り上げてきた日本人には、再び美しいふるさとを蘇らせることができるはずだ。
 
 ただし一つ指摘しておかなければならないことがある。それは、政府が発した情報が被害を広げた側面があるということだ。
 
 4月14日21時26分に発生した地震は、最大震度7、マグニチュード6.5と発表された。翌15日昼時点での死者は9人だった。

 気象庁は同日午後の会見で、「今後3日間で、最大震度6弱の余震が起こる可能性が20%、震度5強以上となる可能性が40%」と発表し、それが繰り返し報じられた。あくまで「余震」への備えをするよう強調した。
 
 日付が変わって16日1時15分からのNHKニュースでもその“余震予報”が伝えられた。再び震度7、M7.3の「本震」が熊本・大分を襲ったのは、わずかその10分後、深夜1時25分のことだった。
 
 多くの人々が、のちに「前震」と訂正された最初の地震の後、「あとは余震だから」と自宅に帰っていた。本震により潰れた家屋の下敷きになるなどして、本稿締め切り時点で犠牲者は48人に急増した。気象庁は本震のあとの会見で、慌てて「今後の動きは予測できない」とお手上げの姿勢を示した。

あわせて読みたい

トピックス

「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(容疑者の高校時代の卒業アルバム/容疑者の自宅)
「軍歌や歌謡曲を大声で歌っていた…」平原政徳容疑者、鑑定留置の結果は“心神耗弱”状態 近隣住民が見ていた素行「スピーカーを通して叫ぶ」【九州・女子中学生刺殺】
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
9月6日に悠仁さまの「成年式」が執り行われた(時事通信フォト)
【なぜこの写真が…!?】悠仁さま「成年式」めぐりフジテレビの解禁前写真“フライング放送”事件 スタッフの伝達ミスか 宮内庁とフジは「回答は控える」とコメント
週刊ポスト
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
世界選手権東京大会を観戦される佳子さまと悠仁さま(2025年9月16日、写真/時事通信フォト)
《世界陸上観戦でもご着用》佳子さま、お気に入りの水玉ワンピースの着回し術 青ジャケットとの合わせも定番
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
和紙で作られたイヤリングをお召しに(2025年9月14日、撮影/JMPA)
《スカートは9万9000円》佳子さま、セットアップをバラした見事な“着回しコーデ” 2日連続で2000円台の地元産イヤリングもお召しに 
NEWSポストセブン