その日の天気さえ外す気象庁に、地震を予測するなどそもそも不可能だ。東日本大震災(M9.0)でも2日前にM7.3の前震が起きていた。それを考えると、今回も最初の地震より規模が大きな地震が来ることは、何ら不思議ではなかった。予測できない天災に対しできることは、早急な被害実態の把握と「最大限の注意を払ってほしい」という注意喚起なのではないか。
この国の「天災予知」は、役人たちの利権に使われてきた。国土地理院の「地震予知連絡会」と、気象庁の諮問機関の「火山噴火予知連絡会」などの研究関連予算は合わせて年間200億円超、この20年で4300億円以上に上る。巨額の費用を使って得られた彼らの結論は“天災は予測できない”ということだった。
我々は、再び教訓を得た。
「自分の命は、自分で守るしかない」
「隣近所と声を掛け合い、命を守ることが最優先である」
幸い、民間企業と一部の自治体は、復興に向けてスピード感のある取り組みを始めている。大手コンビニ3社は被災から1週間も経たずして熊本県内の97%の店舗で営業を再開。ヤマト運輸をはじめ物流各社も物資搬送ルートを構築した。福岡市は市長が率先する形で市民らから物資を集め、被災地に直接送るプロジェクトを開始した。市が物資の集積拠点とした小学校跡地には、多くの市民が水やオムツを持ち込んだ。
政府任せではいけない。災害に強い国を作るのは、他ならぬ我々自身なのだ。
※SAPIO2016年6月号