コラム

ファンドマネージャーが警戒する「マザーズ急落」のリスク

マザーズ急落リスクを要警戒

 今後の日本株の展開を歴戦のファンドマネージャーはどう見ているのか。これまで国内小型株中心の運用で数々のファンド賞を受賞している、「ひふみ投信」の運用責任者・藤野英人氏(レオス・キャピタルワークス代表、CIO)が解説する。

 * * *
 これまでの相場は主役交代が相次ぎ、昨年前半までは大型株、その後はテーマ性を持った中小型株に資金が向かい、4月には東証マザーズ指数が9年3か月ぶりの高値をつけるなど大きく上昇した。

 私が運用責任者を務める「ひふみ投信」も、自動車や電機などの輸出関連やマイナス金利の影響を受ける銀行株などの大型株をほとんど持たず、中小型株投資を進めた結果、この1年でTOPIX(東証株価指数)を20%程度上回る成績を収めることができた。

 しかし、もう一歩先まで見据えると、中小型株一辺倒で利益を上げられる時期が今後もずっと続くとは考えにくい。市場は常に変化しており、それに対応していくことが必要となる。

 それでは、どんな展開が予想されるのか。足元では円高によって大型株の業績が振るわず、株価も冴えない展開が続いてきた。それが今後、景気回復を前提とした相場展開となった場合、ここまで下げてきたところからの反発力を考えると、いよいよ大型株の反撃が始まるというシナリオも想定しておく必要があるだろう。

 そして大型株が相場の主役になることで日経平均株価も上昇し、昨年6月の高値を抜いて2万1000円を超えてくるような展開まで予想される。

◆過熱した銘柄への投資で高値掴みになる恐れも

 大型株の反転というシナリオまで視野に入れると、気になるのは、これまで相場の主役を演じてきたテーマ性を持った中小型株の動向だろう。

 もちろん、金融とITの融合である「フィンテック」をはじめ「VR(仮想現実)・AR(拡張現実)」「バイオ」「自動運転」「ドローン」といったテーマが今後も有望であることに変わりはない。

 だが、市場はそう単純に動くものでもない。もし大型株相場がスタートすれば、機動力の高い専業の個人投資家などが中小型株から大型株へと資金をシフトする動きを高めるのは必至だ。

 そうなると、これまでのように有望テーマに沿った中小型株が次々と物色されて、なんでも上がるわけではなくなる。東証マザーズ指数が急落するリスクも念頭に置きつつ、なかでも業績の伸び以上に株価が過熱しているような銘柄への投資は注意が必要となるだろう。成長性にばかり目を奪われて投資すれば、結果的に高値掴みになる恐れもあるだろうし、十分なリターンを得た後もさらに欲を出してしまうと、大きな痛手を負うかもしれない。

 いずれにしろ、これまで相対的にパフォーマンスのよかった中小型テーマ株は、少なくとも一部を売って利益確定しておく。そして今後上昇が見込めそうな大型株にも一部資金を振り向けておくことも検討しておきたい。

※マネーポスト2016年夏号

関連記事

トピックス

日米通算200勝を達成したダルビッシュ有(時事通信フォト)
《ダルビッシュ日米通算200勝》日本ハム元監督・梨田昌孝氏が語る「唐揚げの衣を食べない」「左投げで130キロ」秘話、元コーチ・佐藤義則氏は「熱心な野球談義」を証言
NEWSポストセブン
ギャンブル好きだったことでも有名
【徳光和夫が明かす『妻の認知症』】「買い物に行ってくる」と出かけたまま戻らない失踪トラブル…助け合いながら向き合う「日々の困難」
女性セブン
破局報道が出た2人(SNSより)
《井上咲楽“破局スピード報告”の意外な理由》事務所の大先輩二人に「隠し通せなかった嘘」オズワルド畠中との交際2年半でピリオド
NEWSポストセブン
河村勇輝(共同通信)と中森美琴(自身のInstagram)
《フリフリピンクコーデで観戦》バスケ・河村勇輝の「アイドル彼女」に迫る“海外生活”Xデー
NEWSポストセブン
《私の最初の晩餐》中村雅俊、慶応大学に合格した日に母が作った「人生でいちばん豪勢な“くずかけ”」
《私の最初の晩餐》中村雅俊、慶応大学に合格した日に母が作った「人生でいちばん豪勢な“くずかけ”」
女性セブン
『君の名は。』のプロデューサーだった伊藤耕一郎被告(SNSより)
《20人以上の少女が被害》不同意性交容疑の『君の名は。』プロデューサーが繰り返した買春の卑劣手口 「タワマン&スポーツカー」のド派手ライフ
NEWSポストセブン
ポジティブキャラだが涙もろい一面も
【独立から4年】手越祐也が語る涙の理由「一度離れた人も絶対にわかってくれる」「芸能界を変えていくことはずっと抱いてきた目標です」
女性セブン
生島ヒロシの次男・翔(写真左)が高橋一生にそっくりと話題に
《生島ヒロシは「“二生”だね」》次男・生島翔が高橋一生にそっくりと話題に 相撲観戦で間違われたことも、本人は直撃に「御結婚おめでとうございます!」 
NEWSポストセブン
木本慎之介
【全文公開】西城秀樹さんの長男・木本慎之介、歌手デビューへの決意 サッカー選手の夢を諦めて音楽の道へ「パパの歌い方をめちゃくちゃ研究しています」
女性セブン
大谷のサプライズに驚く少年(ドジャース公式Xより)
《元同僚の賭博疑惑も影響なし?》大谷翔平、真美子夫人との“始球式秘話”で好感度爆上がり “夫婦共演”待望論高まる
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
男装の女性、山田よねを演じる女優・土居志央梨(本人のインスタグラムより)
朝ドラ『虎に翼』で“男装のよね”を演じる土居志央梨 恩師・高橋伴明監督が語る、いい作品にするための「潔い覚悟」
週刊ポスト