コラム

為替相場 「日米金利差拡大でドル高・円安」シナリオは崩壊

ドル高・円安シナリオは崩壊

 アメリカの中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)が再度の利上げをするとの観測が高まっているなか、今後の為替相場のトレンドはどうなるのか、為替のスペシャリストで酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表の酒匂隆雄氏が解説する。

 * * *
 構造的な変化が為替市場に起きている。それは、貿易収支の動向と、日米金利差の方向性である。

 まず、日本の貿易収支は黒字基調が定着しつつある。原因は、原油を始めとする資源価格の下落によって、輸入額が大きく減少しているからだ。そのため、2016年1月の経常収支の黒字額は、単月で1兆7300億円にまで膨らんでいる。実需ベースでは、為替市場でドルは余っているのである。

 原油価格が持ち直してきているものの、貿易および経常収支の黒字は高水準が続く見通しだ。2016年度は、貿易収支は6年ぶりの黒字、経常収支は3年連続の黒字幅拡大が見込まれている。当面、需給面での円の下支え要因となろう。

 日米金利差の動向についても注意が必要だ。長らく、マーケットのメインシナリオは、米金利は景気回復による継続的な金融引き締めで上昇する一方、国内金利は追加緩和含みで低下するため、日米金利差は拡大傾向をたどり、大きなトレンドは「ドル高・円安」、というものだった。しかし、このシナリオは、以下のように、もはや崩壊していると言えるのではないか。

 米国の景気回復が捗々しくなく、米連邦準備制度理事会(FRB)による年内の利上げは1~2回と想定されている。さらに、日本のインフレ率が、3月の消費者物価指数をみてもわかるように、マイナス圏内に落ち込んでいる。

 その結果、名目金利を政策金利とした場合、インフレ率を加味した実質金利をみると、足元では日本の方が高くなっているのだ。日米金利差は拡大どころか、米国よりも日本の金利の方が高いという“日米逆転”が起きている。

 こうした、重要なファンダメンタルズの変化を考慮すると、すでにマーケットの大きなトレンドは「ドル高・円安」から「ドル安・円高」に転換しているとみられる。

※マネーポスト2016年夏号

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
「よだれを垂らして普通の状態ではなかった」レーサム創業者“薬物漬け性パーティー”が露呈した「緊迫の瞬間」〈田中剛容疑者、奥本美穂容疑者、小西木菜容疑者が逮捕〉
NEWSポストセブン
1泊2日の日程で石川県七尾市と志賀町をご訪問(2025年5月19日、撮影/JMPA)
《1泊2日で石川県へ》愛子さま、被災地ご訪問はパンツルック 「ホワイト」と「ブラック」の使い分けで見せた2つの大人コーデ
NEWSポストセブン
男が立てこもっていたアパート
《船橋立てこもり》「長い髪に無精ヒゲの男が…」事件現場アパートに住む住人が語った“緊迫の瞬間”「すぐ家から出て!」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン
江夏豊氏が認める歴代阪神の名投手は誰か
江夏豊氏が選出する「歴代阪神の名投手10人」 レジェンドから個性派まで…甲子園のヤジに潰されなかった“なにくそという気概”を持った男たち
週刊ポスト
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン