交流戦が始まり、ますます盛り上がるペナントレース。野球ファンがそれぞれの贔屓のチームを応援するのは当たり前だが、いま投資家たちが密かに応援している“球団”があるのをご存じだろうか──。
その名も「日経ヘイキンズ」。チームが“発足”したのは、日経平均が戦後初となる、年初から5営業日連続で下落を記録した1月8日のこと。あるネットユーザーがこうつぶやいた。
〈2002年 千葉ロッテマリーンズ 開幕11連敗 2016年 日経ヘイキンズ 開幕5連敗 まだまだ新記録には遠い〉
このつぶやきがネット上で話題を呼び、あたかもプロ野球チームを応援するかのごとく、日経平均の値動きに注目するネットユーザーが急増したのである。
前日終値より株価が上昇すれば「勝ち」。下落すれば「負け」。1日の中の株価の推移は「試合の流れ」として捉えられ、例えば前場が好調で後場で失速した場合には〈中継ぎ炎上〉と評される。
株価が上がっている時でも、ファンは〈+600の大量リードがあるのにこの不安感〉と“試合経過”に一喜一憂。大きく乱高下した日には〈ニッケイヘイキンズ打線爆発やん!〉〈乱打戦より抑えて勝てよ〉などと、飲み屋でのファン同士の会話さながらだ。
プロ野球チームだから、成績は当然、フロントや監督の采配にも左右される。
今年1月29日に日銀が導入したマイナス金利はファン待望の〈大型補強〉で巻き返しの期待が高まったが、結果は思わしくないものだった。これには、〈マイナス金利選手は一発屋だった〉〈序盤の大量失点が響いた〉と失望感が広がった。
年初から続いた原油価格下落で商社などの株価下落を心配したファンが1月21日、〈助っ人外国人(原油王)にズタボロにされる展開〉とぼやく場面もあった。
最近では、消費増税延期がほぼ固まった5月31日に、〈日経ヘイキンズ、今季初の5連勝!〉という喜びの声が上がり、兜町が大騒ぎしたという。
「以前から、プロ野球ファンがネット掲示板などで贔屓球団の試合の実況をして盛り上がる文化がありますが、リアルタイムで状況が刻々と変わる株式市場でも同様のことが行なわれている。リアルタイムの情報をいち早く入手する手段としてツイッターを活用している投資家は多い。株式投資とSNSの親和性の高さが、日経ヘイキンズファンが増えた要因でしょう」(個人投資家)