40代を過ぎると、森永氏のように「親の介護」に直面するケースが珍しくない。そこで、「介護の厳しさを実感した」と50代の男性会社員がいう。
「母親の介護をしたのは40代後半でしたが、寝たきりの状態の母親を抱き抱えた時に“小柄なのにこんなに重いのか”と愕然としました。60歳を過ぎたら介護は体力的に厳しくなってくると思います。むしろホームに入れないことで、自分の身体が先に壊れてしまう」
とはいえ、症状は少しずつ変化していくため、「もう自分では無理だ」と決断するタイミングは非常に難しい。野球評論家の安仁屋宗八氏(71)は、その分岐点をこう考えている。
「現役時代、家内の支えがなければ野球を続けることはできなかった。だから家内がそうなったら、頑張ってできる限り面倒をみてやりたい。それでもダメだった時は、施設に入れることになるんでしょうね。
その分岐点は、僕が辛いかどうかよりも、家内がプロに世話してもらった方が辛くない、心地良いという状況になった時です。介護度が上がれば、家庭内での介護には限界があると思います」
※週刊ポスト2016年6月24日号