“いもむし”状態の写真で、託児所内に虐待が横行していた事実は証明できる。だがそれはすなわち「愛美利ちゃんも虐待を受けていた」ことを示すものではない。
「ただでさえ、向こうは“適切な保育を行っていた”と全否定しているわけです。だから、この写真を提出するしかなかった」
そう言って母親が取り出したのが、冒頭に紹介した写真だった。正視できないほど痛ましい愛美利ちゃんの姿。両親が遺体と対面した時に撮影したものだった。
「場所は警察署の霊安室です。“司法解剖に回すと切り刻まれる。きれいな体で会えるのはこれが最後です”と署のかたに言われました。きれいな体なんてとんでもない。顔、お尻、足、あの娘は傷だらけで…。涙が止まらなかった。夢だと願いたかった。でも、愛美利は動かない。しゃべらない。娘をこんな体にした託児所を許せなかった。だからこそ、写真に残しました。今回、写真を表に出すことにためらいはありました。でも、託児所の実態をどうしても知ってほしかったんです。愛美利の無念を晴らすために…」(母親)
両親は当初、殺人罪か傷害致死での立件を望んだが、立証のハードルは極めて高い。保護責任者遺棄致死罪を問う形で落ち着いたが、果たして今回の判決「懲役10年」は、同罪では異例の重さとなった。
「犯行模様は非常に危険。冷酷で悪質」
「保育施設経営責任者の職責と使命に大きく反している」
裁判長は判決主文の前に、こんな言葉を添えた。
「私たちの訴えが、ある程度は認められたと思います。一つのけじめはつきました。しかし、今でも判決は軽すぎると思っています。娘は命を、未来を奪われたんです。10年で自由の身になるなんて…。正直に言えば、極刑にしてもらいたかった」(父親)
※女性セブン2016年7月7日号