小澤氏の活躍は、『Momoco』だけではない。グラビアや写真集の撮影で、多くのアイドルをカメラに収めた。石川秀美もその一人だが、印象深いのは優しい気配りだったという。
「同じ事務所だった芳本美代子と一緒に撮影した時、秀美ちゃんは自分ばかりにカメラを向けられていると、『みっちょん(芳本)も撮って』といってくる。大人顔負けの気配りなんです」
とはいえ、10代といえば難しい年頃。若いモデルたちをうまく乗せ、知恵と工夫で現場を乗り切ってきた。
「『おニャン子クラブ』の新田恵利ちゃんには、『横になって寝そべるのはイヤ』といわれて困りました。でも、こちらの意図や必ずキレイに撮れるからと話して、仰向けに寝ているところを上から撮らせてもらいました」
圧倒的な技術と説得力で被写体の信用を勝ちとっていく小澤氏。1993年には、当時、芸能界から姿を消していた石原真理子(現・石原真理)から突然連絡が来た。
「昔からの縁で復帰の相談を受けて、その後、ヌード写真集を出すことになりベニスに行きました。ところが、現地でどうしても脱ぎたくないと。説得して、結局日本でヌードを撮りましたが、全裸になると、黒縁のメガネをかけたんです。何かを身につけることで、『女優として裸になったのだ』と自分に納得させたのでしょう。大変な経緯はあったけど、息をのむような美しさでした」
※週刊ポスト2016年7月1日号