「あれだけ大きな弧を描くスイングで低目も上手く打つというのは、現役時代に対戦した門田博光(南海など)に似ているね。そういうバッターは、スライダーのような横に動く球も体を開いて対応する技術を持っている。だから、真っすぐと思ったボールがストンと落ちるようなフォークでないと打ちとれない。横の動きは追えても、縦の動きは無理ですよ」
交流戦で対戦経験の少ないパ6球団すべてからホームランを打っているという事実も、山田の対応力の高さを物語っている。
しかし、村田氏は「そんな強打者を力でねじ伏せてこそエース」と力説する。
「相手チームの勢いを止めるためにも、山田にはホームランはもちろんヒットだって打たせたくない。王道の配球は、まず胸元に投げてからアウトローでカウントを稼ぎ、最後は落とすという組み立てになる。もちろん失投を見逃さないバッターだから、カウント球にも細心の注意を払わなければいけない。雑魚には使わない全力投球で臨むよ。本音をいえば全球150キロのストレートで抑え込みたい」
撮影■山崎力夫
※週刊ポスト2016年7月8日号