上位に食い込めば8月のリオ五輪代表入りの“奇跡”が望める大一番だ。7月7日(現地時間)に開幕する全米女子オープンゴルフに、国内ツアーの賞金女王争いで独走態勢に入ったイ・ボミ(韓国)が出場する。
「五輪出場権は世界ランク上位の選手に振り分けられます。14位のイ・ボミは、米ツアーを席巻する韓国勢の中では7番手。出場権獲得には7月11日までに韓国勢で上位4人に入る必要があるのでかなり厳しいが、朴仁妃(世界ランク3位)がケガで五輪回避との情報もあり、優勝争いに絡めばわずかながら望みはある」(スポーツ紙担当記者)
ラストチャンスとなる全米女子オープン。イ・ボミの過去の成績をみると、2010年は予選落ち、翌2011年も58位と振るわず、今回はそれ以来の出場となる。
「今年の会場・コーデバルは距離があってラフも深い。硬い高速グリーンにピタリと止める高い球筋も求められます。日本では抜群の安定感を誇るイ・ボミも、対応に苦しむでしょう」(ゴルフジャーナリスト・菅野徳雄氏)
そこで彼女は今回、専属キャディを務める清水重憲氏を初めて全米女子オープンに帯同する。谷口徹、上田桃子らのバッグを担いだ経験を持ち、キャディとして日本ツアー33勝を誇る清水氏について、イ・ボミは会見で「ゴルフがこんなに楽しくなったのは清水さんのおかげ」と語ったこともあり、絶大な信頼を置く。
会場は、「同じホールでも、その日のピン位置で攻め方が全く変わる」(前出・菅野氏)という難コースだけに、攻略には頼れる“相棒”が欠かせない。ただし、前出の担当記者はその切り札が、不安要素にもなると語る。
「英語力です。イ・ボミは英語が苦手ですが、清水キャディも根っからの関西人で英語は全然ダメ。ゴルフは障害物を避ける救済措置を受けられるかなどを競技委員と話し、時には強く主張しなくてはいけないスポーツ。コース上に通訳はいるが、スムーズに主張が伝わるかどうか」
流暢な日本語がイ・ボミ人気を支える一因だが、米国でも言葉の壁を乗り越え、リオへの切符を手に入れてもらいたい。
※週刊ポスト2016年7月15日号