国際情報

クリントン財団寄付の中国人 いつ異変起きても不思議はない

バージニア州のテリー・マコーリフ知事 AP/AFLO

 米共和党大統領候補のドナルド・トランプ氏は6月10日、バージニア州を訪れ、対抗馬の民主党のヒラリー・クリントン氏を「腐敗し切っている」「不正直だ」と舌鋒鋭く批判した。

 なぜトランプ氏が初遊説の地に同州を選んだのか。そこには、大統領選を左右しかねないある中国人実業家の存在があった。ジャーナリストの相馬勝氏がレポートする。

 * * *
 現在、米国では、「クリントン夫妻に最も近い知人」といわれるバージニア州のテリー・マコーリフ知事が、中国人実業家から違法な選挙資金の提供を受けた疑いで米連邦捜査局(FBI)と米司法省によって調べられている。

 しかも、この中国人実業家は知事を介して、クリントン財団にも200万ドル(約2億4000万円)も寄付している。この中国人実業家は中国東北部の遼寧省丹東市に本社を置くゼネコンを主体とする遼寧日林実業グループの王文良会長である。

 米国の法律では、大統領選や知事選などの立候補者が外国人から選挙資金の提供を受けることは禁じられている。つまり、クリントン財団に入った寄付金がヒラリー・クリントン氏の大統領選の資金に流用されたとなれば、大問題に発展するのは間違いない。

 それに、たんに州知事への献金ならば、CNNなど大手メディアも大きく取り上げないだろうが、知事はクリントン夫妻にとって、「最も近い友人」とされる。クリントン氏が大統領選に勝利した場合、知事の主要閣僚就任の可能性も取りざたされていることもあって、今回の王の選挙資金提供疑惑は米国内の関心を集めている。

 それは王が中国内同様、米国でも派手な寄付活動を行ってきたことも無縁ではない。

 ニューヨーク大学には米中関係研究所創設のために2500万ドル、ハーバード大学には100万ドル、さらに超党派のシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)のズビグニュー・ブレジンスキー地政学研究センターなど米中関係の要衝に多額の寄付を行っている。これが、中国のためのロビー活動であることは明らかだ。

 とはいえ、FBIなどはいまのところ、王の財団への寄付金がクリントン氏の選挙資金などに使われたかどうかについての捜査には慎重な姿勢を示していると伝えられる。

関連キーワード

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン