ビジネス

日本でも民泊解禁迫る “先進国”では家賃高騰の原因にも

民泊解禁で東京の家賃はどうなる

 ネットを活用した「民泊」が新ビジネスとして注目を集めている。「Airbnb (エアビーアンドビー))、「自在客(ジザイケ)」などが日本語対応し、合法な物件のみ掲載している「STAY JAPAN」など利用者もサービスを選べるようになってきた。宿泊業のプロ以外にも門戸を開くよう求める声の高まりを受け、政府は民泊の全面解禁を決めた。先行してサービスが浸透している欧米では、民泊が急増したことによって問題も発生している。来年、解禁される予定の日本では、どんな事態が予想されるか。

 6月2日に閣議決定された、年度内に法案提出を予定、合法に運営できる民泊の条件でもっとも注目されたのは、年間で何日までの貸し出しが許されるのか、である。焦点となったその日数は「180日以下」となっていた。諸外国の民泊事情に詳しいゲストハウスジャーナリストの向井通浩さんは「民泊推進派からは少ない、慎重派からは多すぎるという意見が出ています」という。

「今年度中に法律が成立し、遅くとも来年春から日本でも全国的に合法な民泊の運営が可能になります。ただ、年間に貸し出せる日数については、各自治体の条例でさらに具体的に決めることも可能ですので、実際にはもっと少ない日数で運用される地域が多くなると思います。ただし、大都市圏や有名観光地以外の地域では、規制対応が遅れる可能性が高いです」

 2008年にアメリカで創業したAirbnbが2011年にドイツとイギリスへ進出、2012年にフランス、スペイン、イタリアなどへと急速に拡大するとともに、各地で民泊の利用が急増した。その影響で騒音など利用客のマナー、日本での旅館業法にあたる現地の法律違反、住民よりも旅行者へ貸す家主が続出し家賃が高騰、住居を安定的に供給できなくなり都市計画や治安が不安定になるなど、様々な問題が各地で起きている。

 世界の都市や観光地も、こういった問題に対して無策なわけではない。ドイツは年間4か月以上居住している住居でなければ観光客に貸し出せないと定め、とくに住宅不足が深刻なベルリンでは許可が必要で民泊用に貸し出すことを事実上、禁じている。サンフランシスコでは届出と許可が必要など、世界の流れは規制の強化へ進んでいるようだ。

「世界の有名観光地や大都市で民泊による問題が起きています。パリでは、住民に貸すより収入が見込め利回りの良い民泊を選ぶ大家さんが続出し、公立の小学校が学級閉鎖になるほど住民が激減した地域もあります。日本はこういった海外の事例から学んだうえで民泊を解禁するの で、地域ごとに適切な規制をかけてから民泊解禁をすれば混乱は小さくて済むかもしれません。その一方で、この法律制定に向けて、大量の空き物件を抱えている不動産業者の流動性を高めたい期待の大きさとロビー活動が異様なほど盛り上がっているのが日本独特ですね」(前出・向井さん)

 実際に、不動産関連やコンサルタントといった業種の人たちが主催する、ノウハウや儲け方を伝達するとうたった民泊セミナーが都市部を中心にいくつも開催されている。どのセミナーも盛況で、異様な熱気に包まれることも珍しくないそうだ

関連記事

トピックス

妻とは2015年に結婚した国分太一
「“俺はイジる側” “キツいイジリは愛情の裏返し”という意識を感じた」テレビ局関係者が証言する国分太一の「感覚」
NEWSポストセブン
二刀流復活・大谷翔平の「理想のフォーム」は?(時事通信フォト)
二刀流復活・大谷翔平の「理想のフォーム」は?「エンゼルス時代のようなセットポジションからのショートアームが技術的にはベター」とメジャー中継解説者・前田幸長氏
NEWSポストセブン
24時間テレビの募金を不正に着服した日本海テレビ社員の公判が行われた
「募金額をコントロールしたかった」24時間テレビ・チャリティー募金着服男の“身勝手すぎる言い分”「上司に怒られるのも嫌で…」【第2回公判】
NEWSポストセブン
元セクシー女優・早坂ひとみ
元セクシー女優・早坂ひとみがデビュー25周年で再始動「荒れないSNSがあったから、ファンの皆さんにまた会いたいって思えました」
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一
【スタッフ証言】「DASH村で『やっとだよ』と…」収録現場で目撃した国分太一の意外な側面と、城島・松岡との微妙な関係「“みてみぬふり”をしていたのでは…」《TOKIOが即解散に至った「4年間の積み重ね」》
NEWSポストセブン
衝撃を与えた日本テレビ系列局元幹部の寄付金着服(時事通信フォト)
《24時間テレビ寄付金着服男の公判》「小遣いは月に6〜10万円」夫を庇った“妻の言い分”「発覚後、夫は一睡もできないパニックに…」
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国民に愛された『TOKIO』解散》現場騒然の「山口達也ブチギレ事件」、長瀬智也「ヤラセだらけの世界」意味深投稿が示唆する“メンバーの本当の関係”
NEWSポストセブン
漫画家の小林よしのり氏
小林よしのり氏、皇位継承問題に提言「皇室存続のためにはただちに皇室典範を改正し、愛子皇太子殿下の誕生を実現しなければならない」
週刊ポスト
警視庁を出る鈴木善貴容疑者=23日午前9時54分(右・Instagramより)
「はいオワター まじオワター」「給料全滅」 フジテレビ鈴木容疑者オンカジ賭博で逮捕、SNSで1000万円超の“借金地獄”を吐露《阿鼻叫喚の“裏アカ”投稿内容》
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO(HPより)
「TOKIOを舐めるんじゃない!」電撃解散きっかけの国分太一が「どうしても許せなかった」プロとしての“プライド” ミスしたスタッフにもフォロー
NEWSポストセブン
大手芸能事務所の「研音」に移籍した宮野真守
《異例の”VIP待遇”》「マネージャー3名体制」「専用の送迎車」期待を背負い好スタート、新天地の宮野真守は“イケボ売り”から“ビジュアル推し”にシフトか
NEWSポストセブン
「最近、嬉しかったのが女性のファンの方が増えたことです」
渡邊渚さんが明かす初写真集『水平線』海外ロケの舞台裏「タイトルはこれからの未来への希望を込めてつけました」
NEWSポストセブン