◆「新しい」次元の「新鮮」を創り出す

  チューハイの歴史を振り返れば、今から15年前の2001年、キリンが「氷結」を市場に投入し、大きな変革が生まれた。それまでオジサンの飲み物だったチューハイは、ウォッカベースになりパッケージもおしゃれに一新され、女性たちが好むアルコール飲料として定着していった。

 そして今、市場はまた次の変化への兆しを見せ始めている。近年の健康志向で、ビール組がプリン体・糖質ゼロのチューハイへとシフトしてきている。度数もフレーバーもずらりバラエティの揃ったこの市場には、「好みの商品が自由に選べる」と様々な年齢層も入ってきている。その市場に勝負をかけたアサヒビール。

 たしかに世の中を見回すと、野菜は地産地消、ビールはクラフト、醤油も鮮度を追求する時代だ。生き物としての人間の、本能を揺さぶる絶対的な価値が「新鮮」の二字から発信されているからだろう。

 その「新鮮」な味と香りを「新しく」創り出した「アサヒもぎたて」。これまでのチューハイでは作り出せなかった、「新しい」次元の「新鮮」が味わえる。イノベーションによって、収穫したての風味をチューハイに封印したこの商品は教えてくれている。果実の原点である「新鮮」を探るとそこにまだ、ヒット商品を生み出す種が潜んでいる、ということを。

【PROFILE】やました・ゆみ/五感、身体と社会の関わりをテーマに、取材、執筆。ネットでメディア評価のコラムも執筆中。8月に広島大学を題材にした新刊を出す予定。その他、『都市の遺伝子』『客はアートでやって来る』 等、著書多数。江戸川区景観審議会委員。

※SAPIO2016年8月号

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