「言葉になってはいないのにお客様が感じている潜在意識を、インタビューで徹底的に深掘りしていったのです。他の定量調査もあわせると約5000名の声を集めました。まさにアサヒスーパードライの開発時に匹敵するような規模です」
まず開発に使ったメインの手法が「一対一の深掘りインタビュー」だったとは驚いた。消費者の声に直接触れる過程で見えてきたこと。それは、缶チューハイに対する「不満」だったという。
「『味が人工的』『後に甘さが残る』という問題が浮き彫りになりました」
ダメな点は見えやすい。しかし、「こうすれば売れる」という次の道筋はなかなか掴めない。それが消費者を相手にしたマーケティング調査の、最大の難関だろう。その一方で、多くの人に話を聞けば聞くほどテーマは混乱しがち。商品開発の軸がぶれていくという危険性はなかったのでしょうか?
「正直、ありましたね。混乱した時に立ち返ったのは、私自身の体験でした。実は私、缶チューハイが苦手だったんです。なぜ苦手なのだろうかと自分を深掘りしてみたら、レモンチューハイにありがちな薬のような風味が嫌だと気づきました。苦手な原因は劣化臭だったんです。それが製品開発の途上でわかって劣化臭のないフレッシュな味わいを実現しようと決めました」