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内申書で良い点取るため授業で挙手し学級委員ポスト奪い合う

「内申書」のプレッシャーは侮れない AFLO

 全国で高校入試に臨む中学3年生は全体の約9割(平成27年度学校基本調査を元に推計)。しかし、その入試の仕組みによって教育現場では奇妙な現象が起きている。育児・教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏が解説する。

 * * *
 都内の公立中を卒業した男子生徒の母親がつぶやく。

「ウチの子はコツコツ勉強して定期テストの点は悪くなかったのに、寡黙なタイプで内申点が足りなく都立高を諦めざるを得なかった。こんな思いをするなら高校受験をしないほうが良いと思い、下の子は中高一貫校を目指しています」

 母親が怒りの矛先を向ける「内申書」。昔から「先生に逆らうと内申点が下がる」と言われるが、その影響力は今も絶大である。

 中学での成績評価を示す内申書は、定期テストの点数だけでなく、「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」という4つの観点の評価が点数化され、高校入試において合否の判断材料となる。

 内申書の合否判定に占める割合は高校によって異なるが、東京都では3~4割程度。昔より比重が下がったとはいえ、受験結果を分ける大きな要因であり、学科試験のない推薦入試ではさらに大きなウェイトを占める。

 冒頭の母親が述べるように、内申書の最大の問題は、教師の主観が入ることだ。とくに「関心・意欲・態度」の評価は数値化が難しく、どうしても主観的な判断になってしまう。

 実際、定期テストの点数はそこそこだが、意外にも内申点が高かった娘を持つ父親は、「部活の顧問からの評価が高かった。先生の“さじ加減”って本当にあるんですね」と打ち明けた。

 それゆえ、内申書は目に見えないが、生徒の「心」を縛る絶対的な道具となる。実際、「規律の取れたいい学校」と評判の、都内にある公立中を訪れてみると、上から目線で高圧的な教師と、「長いものには巻かれろ」とばかりに大人しく振る舞う生徒が目立ち、私立育ちの私には大きな違和感があった。

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