その典型的な事例がTBSの看板ニュース番組『筑紫哲也NEWS23』のメインキャスターであった筑紫哲也の北朝鮮報道であった。ちなみに筑紫哲也は朝日新聞OBであり朝日時代にも北朝鮮の宣伝工作としか思えないような記事を書いていたのだが、TBSにキャスターとして移籍し、その姿勢に拍車がかかった。
たとえば1997年9月の放送ではスクープとして、たまたま北朝鮮を訪問した民間の日本人が北朝鮮で日本人妻、つまり北朝鮮への帰国事業の際に北朝鮮人の夫に同行した複数の日本人女性に聞いた、ビデオインタビューと称するものを「ニュース」として放映した。その中で堂々と顔出しで登場した日本人妻たちは「不満は無いし、差別も無い、生活に困窮してもいない」と口々に語ったのである。
外国の一流のニュース番組では決してこのような報道はしないだろう。北朝鮮は独裁国家なのである。顔出しで批判をすれば下手をすれば命に関わるし、死刑にならなくても収容所行きは免れない。
北朝鮮のみならず、かつてのソビエト連邦や中国など共産主義を国是とする独裁国家は常にそういうものであることを、戦後日本のマスコミは痛い思いを何度もして学んできたはずなのである。それなのにそういう常識を故意に無視するジャーナリストがいる。日本にも北朝鮮の工作員は多数潜入しテレビもチェックしている。
だからこそ拉致も可能だったのであり、そういう状況下で顔出しインタビューに登場した人間が本音など語るはずがない。だからこんなインタビューは情報として価値が無いというのが世界のマスコミの常識である。